「北京五輪で人権問題を巡る発言自粛するよう」専門家が選手に警告

国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」が五輪選手を招いてセミナーを開催しました。セミナーでは、北京冬季五輪に参加する選手に対し、大会期間中は中国の人権侵害について発言しないよう警告しました。共産主義国家では、選手たちの安全が十分に保障されないからです。

北京冬季オリンピックは来月開催されます。米国務省は、中共は少数民族のウイグル人に対して大量虐殺を行っていると非難しています。

しかし選手たちは、オリンピックで中国の人権問題について何も語らないよう警告されています。あるアスリート支援団体の事務局長がその理由を説明しています。

支援団体「グローバル・アスリート」の事務局長 ロブ・ケーラー氏
「先週、または今週の初めに、選手たちに発言しないよう忠告する声明を発表したことが、理由の一つだ。つまり、選手たちに黙って帰れということだが、それは言うまでもなく馬鹿げている。その理由はオリンピック憲章第50条にあり、その規則には、「その国の適用法令の下で」と記されている。私たちは中国(共)の人権記録や表現の自由の許容度を知っている。だから、選手はほとんど守られないだろう」

オリンピック憲章第50条では、選手が競技中に、いかなる政治的、宗教的な抗議活動を行うことを禁じています。

しかし、選手の中には、オリンピックであろうと、どこであろうと、自分たちにとって重要な問題について発言することが許されるべきだと主張する人もいます。

クロスカントリースキーの元米五輪代表選手 ノア・ホフマン氏
「人権問題についていつでも発言できるよう、選手に対する包括的な保護が必要だ。選手が人権を享受できるのは、競技をしていないときだけではない。選手が人権を享受できるのは、表彰台に上がっていないときだけではない。彼らは常に人権を享受しているのだ。だから、アスリートは表彰台や競技場にいないときにも保護されるべきだが、そのような場所にいるときにも保護されるべきだ」

中国問題を専門にしているヒューマン・ライツ・ウォッチの調査員は、警告に従わなければ、選手がどのように危険にさらされるかについて説明しています。

ヒューマン・ライツ・ウォッチ中国問題調査員 王亜秋氏
「中国の法律は、人々の言論の自由を抑圧するための犯罪について、非常に曖昧だ。率直に話すだけで、喧嘩を売った、問題を起こしたという罪に問われることがある。破壊活動を扇動した罪で起訴されることもある。つまり、平和的に批判しただけで、あらゆる罪に問われる可能性があるということだ。先ほどソフィーが言ったように、中国の有罪判決率は99%だ。これらの事実は、選手が発言した場合に何が起こり得るかを示す良い指標となる」

ロイター通信は、国際オリンピック委員会(IOC)にコメントを求めました。IOCは返信で次のように述べています。「オリンピック組織は、オリンピック憲章の基本原則と倫理綱領の両方に明記されているように、常に人権を認識し、支持している」

米国は、日本英国、豪州と共に、共産党の人権侵害を理由に、北京五輪に対して外交的ボイコットを表明しています。

北京五輪の開会式は、2月4日に行われます。

〈字幕版〉

 
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