最近、中国共産党(中共)の軍艦3隻が突如として南太平洋の海域に現れ、実弾演習を実施し、各方面から高い関心を集めました。専門家によると、中共は近年、海軍艦隊の規模を急速に拡大し、ブルーウォーター・ネイビー(遠洋海軍)の発展を推進していますが、それでも米国海軍と比べると、遠洋作戦能力には依然として大きな差があると指摘されています。
中共は、2050年までに遠洋海軍を確立することを目指しており、その世界的な海上プレゼンスの拡大はインド洋から始まりました。2008年以降、中共の海軍はアデン湾でいわゆる海賊対策任務を実施し続けています。
2015年、中共の軍艦が初めて米国のベーリング海に姿を現し、その後もたびたび確認されています。
近年、中共の軍艦が南太平洋を航行するケースは増えているものの、2月下旬に戦闘艦隊がこれほど深く豪州・ニュージーランド周辺の海域に到達し、実弾軍事演習を実施したのは今回が初めてであり、外界の不安を招いています。
中共の官製メディア「環球時報」は、中共の軍事専門家・張軍社の発言を引用し、次のように主張しました。一部の国々は米国海軍が長年にわたり自国周辺海域を航行することには慣れていますが、中共の海軍がこれらの海域を通常航行することには依然として適応できていません。中共の海軍はより遠洋へ進出し、国際社会に徐々に慣れさせるべきです。
台湾国防安全研究院の研究員である沈明室氏は「米国は西太平洋の複数の国々と同盟関係にあり、そのため巡航や軍事演習は通常の行為と見なされます。しかし、豪州は中共の同盟国ではなく、今回の中共の行動は攻撃的な『示威行動』なのです」と指摘しました。
沈明室氏
「(中共は)防衛的な国防政策を強調していますが、それならば、どうして豪州まで行って戦闘を行うのでしょうか? これは、実際にはすでに拡張的で攻撃的な行動をとっていることを示しています。米国、日本、豪州、フィリピンの戦略とは全く異なります」
米国に対抗し、遠征作戦能力を備えた「ブルーウォーター・ネイビー」への転換を図るため、中共は近年、さまざまなタイプの空母の建造を積極的に進めています。
米国国防総省が発表した最新の中共軍に関する年次報告によると、中共はすでに370隻以上の艦艇と潜水艦を擁する戦力を有しています。
台湾国防安全研究院戦略・資源研究所の所長、蘇紫雲氏は、中共の艦艇数は米軍を上回っているものの、総排水量では依然として米軍に及ばないと指摘しました。
蘇紫雲氏
「最も大きな課題は、米軍が世界に約300カ所の海外基地を持ち、常に補給を受けられるのに対し、中共軍は海外での補給拠点が極めて限られていることです。現在、中共が正式に運用している海外基地はジブチに1カ所あるのみで、それ以外は『一帯一路』構想を通じて南米、ソロモン諸島、インドシナ半島の港に投資しているに過ぎません。これらの港は、まだ正式な軍事拠点にはなっていません。確かに中共海軍は艦艇数が多いものの、航行を続けるうちに補給が追いつかず、途中で引き返さざるを得ない状況に陥ります。これは燃料の問題により、海外での補給が困難であるためです」
沈明室氏は、中共の軍艦の数は世界最多であるものの、その中には老朽化した艦艇も含まれていると指摘しました。また、新型艦艇についても、戦闘システムや指揮・通信能力の面で米軍には及ばないと分析しています。
沈明室氏
「最も大きな差は、空母にあります。中共の空母は1980年代の設計に基づいており、いまだに従来型の動力を使用しています。これまで東側では第二列島線を越えて航行した例はほとんどなく、西側ではマラッカ海峡を超えたこともありません。したがって、艦艇の数では米国を上回っているものの、質の面では米国には到底及びません。特に、軍艦同士の連合作戦や、海軍と空軍の協同作戦、さらには軍艦による大規模な海兵隊を十分に輸送・展開する能力においても、現在の中共軍はまだ不十分です。さらに、中共軍のいわゆる『強襲揚陸艦』は、艦上にヘリコプターを搭載しているものの、その防御力は極めて脆弱です」
中共が太平洋諸国との協力を強化していることを受け、中共海軍の同地域への訪問頻度が今後さらに増加するとみられています。
蘇紫雲氏は、「米国は、中共が「一帯一路」構想を通じて他国への影響力を拡大し、海洋覇権における競争力を高めようとしており、そのため、米国も積極的に対抗策を講じています」と指摘しました。
蘇紫雲氏
「例えば南太平洋の第二列島線では、豪州、台湾、日本と連携し、これらの島嶼国が中共に取り込まれないようにする取り組みが進められています。また、パナマ運河に関しては、トランプ氏の要請を受け、パナマが『一帯一路』からの離脱を決定しました」
沈明室氏
「もし豪州が原子力潜水艦を保有し、さらに海軍力を強化した上で、米国第七艦隊や太平洋軍の艦隊と連携すれば、軍事力の面で(中共は)米国と豪州には及ばないでしょう」
米国、英国、豪州の3カ国は、2021年に安全保障パートナーシップ『AUKUS』を設立しました。その最優先の目標は、英米両国が豪州の原子力潜水艦艦隊の建造を支援することです。




