中国共産党(中共)の国家宗教事務局は、中国国内における外国人の宗教活動を管理するための新たに改訂された「実施細則」を公表し、本年5月1日より施行されます。専門家の間では、これは外国人の信仰の自由を侵害するものであり、中国を訪れる外国人にとって新たなリスクが加わることになるとの指摘されています。
中国国家宗教事務局は5月1日、中国国内における外国人の宗教活動を管理するための新たに改訂された「実施細則」を施行すると発表しました。今回の改訂では、従来の22条から38条へと大幅に増加しており、主に「国家の安全」に関わる要素が新たに加えられていることが特徴です。
新たに改訂された「実施細則」では、中国国内で宗教活動を行う外国人はすべて中共の管轄を受けることが求められています。また、集団での宗教活動に関しては、明確に二つの方法が定められています。一つは、国内の寺院や教会が専用の場を提供する形で行うこと、もう一つは、そのような条件が整っていない場合には、中共の宗教事務部門が承認した臨時の場所で行うこととされています。
台湾の元国民大会代表 政治評論家 黄澎孝氏
「中国は現在、自らを世界第二の大国と称していますが、実際には中共は非常に自信がなく、極めて強い不安感を抱えているのです。今回の宗教に関する法律で、特に外国人を対象に加えた理由として、私が考えるに、中共が最も懸念しているのは、外国から伝わるイスラム教の宗派です。もちろん、もう一方でキリスト教やカトリックに対しても、中共は政権樹立当初からすでに統制の対象としてきました」
「実施細則」には、外国人が中国国内で行ってはならない宗教活動の具体例として、11項目が列挙されています。その内容には以下のような行為が含まれています。許可なく説教や講道を行ったり、集団での宗教活動を実施すること。中国国民の中で信者を獲得したり、宗教指導者を任命すること。宗教に関する書籍や宗教用品を製作・販売すること、宗教の宣伝物を配布すること。インターネットを利用して違法な宗教活動を行うことなどです。これらの規定は、外国人による宗教活動を厳格に制限する意図が明確に示されているものとなっています。
台湾の元国民大会代表であり、政治評論家の黄澎孝氏は、これらの細則は宗教信仰の自由を侵害するものであると指摘しています。
黄澎孝氏
「これはもちろん、宗教信仰の自由と言論・結社の自由を非常に典型的に侵害するものであり、こうした人権侵害の行為を法律の形で正当化しているのです。つまり、これは中共政権そのものが正常な政権ではなく、文明社会の人権に反する『邪悪な政権』であることを示しています」
元北京の弁護士であり「民陣加拿大(民陣カナダ)」主席の頼建平氏は、これは同時に中国国民の宗教信仰の自由も奪っていると指摘しています。
元北京の弁護士「民陣カナダ」主席 頼建平氏
「(中共は)現在、西洋のカトリックやキリスト教の聖職者が中国で宣教したり、説教したりすることを制限し、さらには事実上禁止しようとしています。これは一連の動きの一部であり、その目的は、中国のキリスト教徒やカトリック信者を西側の教会と切り離し、交流や往来を減らし、中国国内で自力でやっていくしかない状況に追い込み、中共が指定した範囲内に信仰を閉じ込めようとするものです」
中共は無神論を掲げる政党として、常にあらゆる宗教の上に立とうとする姿勢をとってきました。中国本土では、海外の教会の影響を受けず、中共の宗教事務局の管理下にある「三自愛国教会組織」を設立し、民間の家庭教会に対しては厳しい弾圧を加えています。また、仏教学院では「党の歴史を学び、党の恩に感謝し、党についていく」ことが強制され、寺院内には毛沢東の肖像画や習近平の写真が奉納されるなど、宗教までもが政治宣伝の場と化しています。
しかしながら、こうしたいわゆる「中国化」された宗教は、必ずしも外国人の信仰の在り方や教義に合致するとは限りません。新たに改訂された「実施細則」が施行されることで、外国人が中国国内で宗教活動を行う際、規定に触れてしまう可能性が高くなり、その結果、処罰を受けるリスクも大いにあると考えられます。
頼建平氏
「外国人が中国を訪れる際には、さらに一層のリスクが加わることになります。中共はスパイ摘発に加えて、今や宗教の分野にも強硬な手段を持ち出してきました。聖職者が中国で布教すること、宗教的な学術交流や文化の伝播に対しても、多くの制限や罠を設けています。そのため、外国の宗教関係者が中国を訪れれば、中国政府によって冤罪に陥れられる可能性は十分にあるのです」
昨年、台湾の民間人が信仰に関わる問題で中国本土において拘束されるという事件が発生し、現在に至るまで釈放されていません。
黄澎孝氏
「私は、すでに多くの外国人がこのようなリスクの存在を感じ取っていると信じています。中国にビジネスで訪れる方や観光で訪れる方は、今後このようなリスクに直面する可能性があります。ですので、ここで改めて皆さんに呼びかけたいと思います。特別な理由がない限り、中国に行かないようにし、自らトラブルを招かないようにしてください」
米国際宗教自由委員会(USCIRF)は先月発表した年次報告書の中で、中国を再び「特別懸念国(Country of Particular Concern)」に指定しました。報告書では、中国の宗教の自由が依然として世界最悪の水準の一つであると指摘されています。中共は高度なハイテク技術を用いて宗教の自由を抑圧し、さらには国境を越えた弾圧も行っているとされています。2024年において、中国は世界の28の国と地域の中で、信者を最も多く投獄・拘束している国であると報告されています。




