関税戦争が過熱 東莞市の“世界の工場”が窮地に

トランプ氏が大規模な報復関税を実施したことで、中国の対外貿易企業は困難に直面しており、多くの米中間の貨物船や貨物便がキャンセルされ、輸出業者は次々と出荷を停止しています。専門家の見方では、もし米国による対中輸入製品への関税措置が長期化すれば、中国の中小工場は閉鎖を余儀なくされ、すでに深刻な失業問題にさらなる追い打ちをかけることになるだろうとされています。

米中が本格的な関税戦争に突入し、中国の対外貿易工場は操業停止・生産中止に追い込まれており、その影響による不安は、内需向けの工場にも広がりつつあります。

ネット動画
「今はもうこういう状況で、工場は操業も生産も止まり、100人以上がその場で解散させられました」

ネットユーザーの声
「空が崩れ落ちたような気分です。昨日までは何事もなかったのに、こんなに突然起こるなんて。今日出勤したら、社長から“もうやらない。全員休みにする”と言われました」

「もし本当に工場にもう注文が来ないなら、倒産したら、これからの人生どうやって生きていけばいいのでしょうか」

『財新』など複数のメディアの報道によると、報復関税政策が実施されて以来、多くの米中間の貨物船や貨物便がキャンセルされ、輸出業者は次々と出荷を停止しているといいます。東莞のある工場関係者は率直に、中国が対抗措置を取れば、最大の敗者は東莞の工場になると語りました。というのも、東莞は“世界の工場”と呼ばれ、その生産の60%が対外輸出に依存しているためです。

東莞の工場従業者
「考えてみてください。これらの企業は、貨物が出荷できなくなって、注文も当然ガクッと落ち込むはずです。周辺にも台湾資本の工場がありますが、清明節の休みは本来1日だけの予定だったのに、今は5日間に延長されています。何より深刻なのは、生き残るために、これらの企業が内需(国内市場)に転換せざるを得なくなっていることです。そうなると、私たちのような内需向けの小さな工場と競争することになって、もう本当に“内巻”状態です。共倒れになる勢いです」

中国共産党(中共)は対米関税を125%まで引き上げた後、これ以上の対抗措置は取らない方針であることを表明しました。

米国の経済学者 黄大衛氏
「これは非常に典型的な“声東撃西(陽動作戦)”の中国式手法です。表面的にはこれ以上の関税引き上げはしないと見せかけ、あたかも緊張を緩和させるように見えますが、実際には対立のさらなるエスカレートを避けつつ、より隠れた、構造的かつ広範な形で対抗策を展開しています。例えば、EUを取り込む、ドル体制を弱体化させる、“脱米国化”されたサプライチェーンを築くなどです。一見すると引き下がっているように見えますが、実際は局地戦での柔軟な立ち回りを得るための戦略なのです」

黄氏は、中共当局が非関税・非貿易的な手段を用いて、米国の孤立化に対抗しようとしている可能性があると指摘しています。ただし、その裏には多くの潜在的リスクも伴っているといいます。

黄大衛氏
「米国は中国にとって最大級の消費市場のひとつで、全体の約3分の1を占めています。特に、ギフト用品、電子製品、金属部品、玩具などの特定の商品は、その90%以上が米国市場に依存しています。関税がたとえ145%でも100%でも引き上げられれば、輸出業者はすぐに米国市場を見限り、注文をメキシコやインド、東南アジア諸国へと移すでしょう。工場の倒産は個別のケースにとどまらず、連鎖的に発生する可能性があります。特に中国の沿海地域では、その影響が深刻になると見られます。第2波の影響としては、工場の大規模な移転が進み、その結果として労働者の失業、そして地方財政の悪化が続くおそれがあります」

ベトナムが中国製品の原産地偽装の中継地となっている疑いが浮上し、その結果、トランプ政権によって46%の報復関税が課されました。こうした状況を受けて、米国から高額の対等関税を課されるのを回避するため、ベトナム当局が中国製品の「原産地偽装」に対して厳格な取り締まりを開始したと報じられています。

黄大衛氏
「中国本土は、いわば経済的孤島のような状態に陥りつつあります。一定の世界市場を失い、頼れるのは『一帯一路』を通じたアジア・アフリカ・ラテン米国諸国や、一部のまだ取引が続いている国々との貿易だけになります。しかし問題なのは、中国国内の需要が不十分であること、そしてアジア・アフリカ・ラテン米国諸国の消費力は、米国市場には到底及ばないという点です」

米国による新たな関税の衝撃を受け、中国製の多くの製品が新たな販路を求めざるを得ない状況となっています。『フィナンシャル・タイムズ』の報道によれば、アナリストらは、大量の低価格な中国製品が今後ヨーロッパ市場へと流れ込み、現地市場に大きな影響を及ぼす可能性があると警告しています。

台湾国防安全研究院 研究補助員 王綉雯氏
「中国の対米輸出品が売れなくなり、中共は内需拡大によって消化しようとしていますが、中国国内ではすぐにそれを消化する力がありません。そのため、もっとも現実的なシナリオは、米国以外の地域に向けて安値で輸出することです。まさにそれこそが、現在EUなど各国が警戒している事態です。さらに、今回は米国が中国製品の原産地偽装にも厳しく対応しており、ベトナムなどインドシナ半島諸国に対しても高関税を適用しています。これは中共に対し、『逃げ道は与えない』という強いメッセージだといえます」

分析によれば、トランプ大統領の主な狙いは、中共を交渉の場に引き出すことにあるとされています。もし中共が「面子」を重んじ、対立の姿勢を貫こうとするならば、経済や社会全体に深刻な崩壊が訪れる可能性があります。

王綉雯氏
「トランプ2.0(第2次トランプ政権)は、今回は本気で中国を叩きにかかっていると言えます。たしかに中国は保有する大量の米国債を売却することで、ドルの地位を揺るがすという金融の脅しをかけることもできますが、米国はそれ以上の痛みにも耐えられる可能性があります。米中の関税戦争は、今後金融戦に発展する可能性があります。なぜなら、利率や為替レートの調整は、関税よりも大きな影響を与えるからです。

中国は、米国債の売却や人民元の切り下げなど、金融面で対抗する可能性がありますが、金融戦の最終局面では“誰がより多くの金(ゴールド)を保有しているか”が勝敗を分けることになります。この点で、中国は米国に対抗できるとは言い難いでしょう」

香港の『明報』によると、関税戦争の影響は誰一人として免れない状況にあるといいます。深圳市越境EC協会の会長・王馨氏は、今回の関税措置は過去に例のない衝撃であり、高関税がコスト構造を根本から変えてしまうと述べています。関税戦争は特に中小企業に深刻な打撃を与え、中国国内の失業率が急上昇する可能性もあると警告しています。

 
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