トランプ政権は先日、2期目政権下で最初の「国家安全保障戦略」を発表し、インド太平洋地域を戦略的最重要地域と位置づけました。専門家の分析によると、これは第二次世界大戦と冷戦終結以来、米国が実施した最大規模の安保戦略の調整であり、過去30年にわたる米国の対中戦略が最大の転換点を迎えたことを示しています。これにより、米中関係は全面的な競争という新たな段階へ突入しました。
トランプ政権が12月5日に発表した「国家安全保障戦略(NSS)」では、「米国第一」に基づく新たな世界的立ち位置が詳細に説明されています。また、米国が過去30年間にわたり中国に対して採用してきた「関与政策」が、完全に失敗したと明記している点が特徴的です。
NSSは、米国がもはや「世界の重荷を永遠に背負い続ける」姿勢を見直し、不安定化を招く不法移民の流入阻止、米国の産業力の全面的な再興、西半球での主導的地位の向上を優先すると明記しています。また、モンロー主義を改めて確認し、欧州の同盟国にも、集団防衛へのより積極的な関与を求めています。
さらにトランプ政権は、世界のGDPの約半分を占めるインド太平洋地域において、「力による平和」戦略を採用する必要性を強調しています。単一の大国による地域支配を防ぎ、「第一列島線のあらゆる地点で侵略を阻止する能力」を構築するとの軍事方針を提示しました。これに伴い、台湾や日本などの第一列島線のパートナー国に対し、防衛費と軍事能力の大幅な増強を要請しています。
時事評論家の唐靖遠氏は、今回の国家安全保障戦略について、第二次世界大戦および冷戦終結以来の重大な調整だと指摘しています。
時事評論家 唐靖遠氏
「米国は、冷戦後の世界秩序における構築者・維持者・指導者という役割から退こうとしています。もちろん、これは関与の完全な放棄ではありません。従来のすべてを抱え込む大黒柱のような役割から、同盟国チームのキャプテンを務める形へ移行するということです」
台湾国防安全保障研究院 沈明室研究員
「基本的にトランプ氏の目標は富国強兵であり、つまり米国を再び偉大にし、国家を豊かにして軍事力をさらに強化すること、そして中国との国力差を広げることにあります。これが米国の国家戦略の主たる目標です」
NSSはさらに、米国が長年中国に対してとってきた関与政策が失敗に終わり、中国共産党(中共)政権が過去数十年にわたりグローバル化を利用して力をつけてきたと明確に指摘しています。かつて「極めて豊かな国と極めて貧しい国」だった米中関係は、今や拮抗する関係へと変化しました。
今後について報告書は、「互恵性と公正性」の原則に基づき、対中貿易を「非敏感分野」に限定し、サプライチェーンの対中依存度を引き下げる方針を打ち出しています。
唐靖遠氏は、米国が自国の安全保障を確保するため、防衛分野を中心として反共的な国家戦略を選び、米中関係を中共がWTOに加盟する前の状態へリセットしようとしていると指摘します。
唐靖遠氏
「この国家安全保障戦略は、米国がもはや中共にいかなる幻想も抱いていないことを意味します。相手が反米的であろうと、あるいは態度を変えて友好的に振る舞おうと関係なく、米国はある方針を固めました。まず中共という不安定要素を排除し、強固な防衛線を築くこと。地政学的には、中共を第一列島線の内側に厳密に封じ込めることを決定したのです」
台湾問題は長年、米中関係の焦点です。今回のNSSでは8回言及されました。「米国は台湾海峡の現状を一方的に変更しようとするいかなる行動も支持しない」という従来の対台湾政策を維持することが強調されています。
またNSSは、台湾海峡で緊張が高まった場合、第一列島線に位置する日本と韓国が一定の役割を担うことになると明記しています。
沈明室研究員
「台湾が米国の繁栄、安全保障、経済において重要な役割を担っているため、8回も言及されたのです。しかし、対台湾政策の基本に大きな変化はありません。特に『一つの中国政策』についても同様で、中共による武力侵攻と現状変更に反対すると同時に、台湾の独立宣言による現状変更にも反対しています」
沈氏はさらに、米国が台湾海峡での紛争を予防・抑止し、中共が軽率な冒険主義に出て台湾侵攻を企てないよう牽制していると指摘します。同時に、台湾や日本などの周辺国に防衛力の強化を求め、連携して台湾海峡や東シナ海、南シナ海で中共が安易に武力衝突を引き起こす行動を抑止しています。したがって、今後中共は台湾に対する統一戦線工作を強化しますが、特定の期限を設けて台湾問題を解決しようとすることはないだろうと分析しています。




