米国とロシアの間でミサイルおよび核弾頭の配備を制限していた条約が期限切れとなり、米国はロシアおよび中共を含む新たな軍備管理協定の締結を模索しています。専門家らは、新しい核協定が成立するかどうかにかかわらず、米国が「核抑止能力」を強化することは中共にとって大きな圧力になると指摘しています。
米国とロシアの間の「新戦略兵器削減条約」は2月5日に失効しました。6日、ルビオ米国国務長官は国務省の公式Substackプラットフォーム上で「まず、軍備管理はもはや米露間だけの問題ではない。大統領が明確に述べたように、他の国々も戦略的安定を確保する責任を負っており、その中でも中国の責任が最も重い」と投稿しました。
ルビオ氏はさらに、「新戦略兵器削減条約」発効以降、中共が急速に核兵器庫を拡大していることを強調しました。従来の米露二国間協定に基づく軍備管理の枠組みは、すでに現実にそぐわなくなっているとし、2020年以降、中共の核弾頭保有数が約200発から600発以上に増加したと指摘しました。
また、ルビオ氏は「ロシアと中国は、米国がそれを黙認し、自国の義務を果たさないまま核戦力を拡張することを容認すると期待すべきではない」と述べました。
軍事専門番組「マーク時空」のキャスターであるマーク氏は「冷戦時代の最盛期、米ソ両国の核弾頭はそれぞれ1万発を超えていたが、当時は迎撃ミサイルシステムが存在しなかった。この非常に危険な状況下で、両国は核兵器数を制限する協定を結んだ」と説明しました。
軍事専門番組「マーク時空」のキャスター・マーク氏
「当時、このような大規模破壊兵器の制限に中共は含まれていませんでした。なぜなら、当時の中共は軍事的に弱小で、米ソいずれも中共を重要視していなかったからです。しかし現在の中共は急速に台頭し、軍事力を拡張しています。特に核兵器分野では、米露に追いつこうとしています」
マーク氏によると、トランプ政権は中共が制約なしに核兵器を開発している実態を認識し、この制限協定に中共を組み込もうと試みていました。仮に中共が協定に参加しなければ、米国は自国の核戦力を数倍規模に増強でき、その際には核戦略上の主要な照準目標がロシアから中国へと移る可能性があると述べました。
台湾の軍事戦略学者である蘇紫雲氏は、現在米国には冷戦時代に製造され、封印された核弾頭がおよそ6千発存在するとし、その中には技術的に陳腐化したものや保存年限を超えたものも含まれていると指摘しました。同氏は、これらを更新・整備すれば、米国は抑止力を維持し、中共による先制攻撃を防ぐことができると述べました。
台湾軍事戦略学者 蘇紫雲氏
「いわゆる抑止とは3つのCから成り立ちます。第一は『能力(Capability)』、第二は『信頼性(Credibility)』、そして第三は『コミュニケーション(Communication)』です。能力があってこそ信頼性が生まれ、さらに相手に十分な能力と報復の意思を示すことで、初めて核対話が成立するのです」
2月5日、米国のディナノ(Thomas G. DiNanno)国務次官は国連軍縮会議で、ロシアと中国が核爆発を伴う実験を行い、核実験のモラトリアムを遵守していないと述べました。
ディナノ米国務次官
「本日、米国政府は中国が数百トン級の当量実験を準備し、実際に核爆発実験を行ったことを把握しているいることを明らかにします」
ディナノ氏はさらに「中共はこれらの実験がモラトリアムに違反することを認識しているため、核爆発を隠蔽しようと試みた」と指摘しました。
ディナノ氏によると、中共は地震波の検知を困難にする「デカップリング」技術を利用し、2020年6月22日に特定規模の核実験を実施しました。
蘇紫雲氏
「独裁国家は核兵器を従来の抑止力から政治的な駆け引きの手段へと転換しています。ロシア・ウクライナ戦争がその典型です。ロシアは6千発の核弾頭を保有しているため、他のNATO諸国はウクライナへの兵器援助にとどまり、直接的な部隊派遣を行うことができませんでした。中共も同様に、核能力を拡大することで、他国による台湾防衛支援を政治的に抑止しようとしているのです」
マーク氏によると、「中共はいまだ『核の三本柱』による核攻撃能力を完全には備えていません。潜水艦や地上発射ミサイルによる攻撃力は持っていますが、空中発射が可能な大型戦略爆撃機はまだ保有していません。この点で、米露とは依然として大きな隔たりがあります。
マーク氏
「中共は世界制覇という野心を持ち、そのためには核兵器を含む軍事力の拡張が不可欠だと考えています。十分な核兵器を持たなければ、その覇権を実現することは難しいと見ています」
マーク氏によると、米国が直ちに使用可能な核弾頭は約1500発であり、条約の制約がなくなった現在、米国はより多くの核兵器を迅速に配備する能力を持つといいます。これが拡張を続ける中共に対して極めて大きな圧力となっていると分析しました。




