中国共産党(中共)の軍事力と戦略的野心がますます拡大する中、米国は太平洋地域全体の防空体制を強化し、第二次世界大戦中に太平洋の離島に建設された旧飛行場を修復・改修しています。専門家によると、こうした飛行場の作戦能力を再び整える動きは、将来起こりうる事態の悪化に備えるためのものだと指摘されています。
北マリアナ諸島のテニアン島では、米軍が前方武装・給油拠点としての訓練を行っています。これは米国軍が第二次世界大戦時の飛行場を再稼働させ、有効活用していくうえで重要な一歩です。
独メディアのドイチェ・ヴェレは、北太平洋では中国船が日韓の海洋権益を頻繁に揺さぶり、南部では台湾周辺で大規模な軍事演習を繰り返して台湾はいずれ中国本土と「統一」されると主張していると指摘しています。さらに、2016年の国際仲裁でこれらの主張が否定されたにもかかわらず、中共は今なお南シナ海の大部分を中国の領土だと主張し続けています。
インド太平洋地域で戦略的競争が激化する中、米国が太平洋の離島にある旧飛行場を整備していることは、将来的な紛争の可能性を見据えた動きではないかとの見方が広がっています。
トロイ大学ソウル校国際関係学教授 元米空軍士官 ダン・ピンクストン氏
「中国がこの地域で最大の懸念材料であることは間違いありません。これらの措置は明らかに、中国の軍事能力強化に対抗するためのものです。米国がこれらの飛行場の運用能力を回復させるのは、将来的な情勢悪化を見据えた備えです」
台湾国防安全研究院助理研究員 鍾志東氏
「米国は現在、ハード面の準備を積極的に進めています。中国と衝突が起きた場合でも、より多くの基地インフラと十分な準備によって作戦上の需要に対応できるようにするためです。これは、米国がインド太平洋、とりわけ東アジアにおいて平和と安定を維持する能力と決意を示すものです」
台湾国防安全研究院副研究員 謝沛学氏
「中国ロケット軍の長距離弾道ミサイル『グアム・エクスプレス』と呼ばれる東風26や各種巡航ミサイルの性能が高まるにつれ、集中型の基地は紛争初期に壊滅的な攻撃を受けやすくなっています。
第二次世界大戦で使用されたテニアン島のような旧飛行場を複数の予備滑走路として再開することで、米軍機は有事の際に迅速に分散展開でき、敵が一挙に米軍の空軍力を麻痺させることを防ぐことができます」
第二次世界大戦当時、北マリアナ諸島のテニアン島は世界最大級の空軍基地であり、原爆を投下した爆撃機の出撃拠点でもありました。現在、米空軍はジャングルに埋もれていた旧滑走路の大規模な清掃・整備を進めています。
謝沛学氏
「現在の日本では、安全保障環境に対する危機感が高まっています。特に、中国の急速な軍備拡張や北朝鮮の核の脅威がその背景にあります。日本社会や安全保障分野では、台湾有事は日本有事という考え方が共通認識となりつつあります。国家の存続と地域戦争の抑止を前提に、日米同盟の抑止力強化が最優先事項とされています。共通の安全保障上の脅威が、歴史的な確執を超えた協力を促しています」
テニアン島はグアムから約160キロ離れており、修復が完了すればグアムの「バックアップ」基地として機能します。もしグアムの滑走路が損傷した場合、戦闘機はテニアン島に着陸し、燃料補給や兵装の付け替えを行うことができます。
分析では、米軍が旧飛行場を修復する目的は、大量の部隊を常駐させるためではなく、「即時利用可能」体制を整えるためだと指摘されています。
謝沛学氏
「これらの整備された飛行場には、平時に多くの部隊を常駐させるとは限りません。主に戦域の予備拠点として機能します。実際に戦闘が起きた場合、これらの飛行場は迅速に前線用の着陸場、燃料補給拠点、弾薬補給センターなどに転用できます。このような多拠点型の後方支援ネットワークによって、主要基地が損害を受けても米軍の空中作戦能力を維持できます」
また、米陸軍と海軍工兵隊はパラオのアンガウル島にある簡易飛行場を修復し、現在はC-130輸送機の離着陸が可能になっています。さらに、ペリリュー島の旧滑走路についても改修計画が検討中です。
米国はミクロネシア政府の承認を得て、ヤップ島の民間空港の滑走路と誘導路を改修・拡張しており、軍用機の運用にも対応できる仕様にしています。ヤップ島はグアムとフィリピンの間に位置し、この「中継地点」によって第一列島線と第二列島線の間の補給距離を大幅に短縮できます。
ハワイとグアムの中間にあるウェーク島は、第二次世界大戦初期の激戦地として知られています。近年、米軍は滑走路や燃料貯蔵施設の改良に数億ドルを投じています。
鍾志東氏
「米国は昨年発表した国家安全保障戦略と、今年の国防戦略の中で、地域的な安全保障態勢の構築を特に重視し、中国に対抗する軍事配置を強調しています。したがって、これらの基地の整備は台湾情勢への積極的な対応と言えます。台湾海峡にとどまらず、日本、東シナ海、南シナ海といった東アジア全体全体の安全保障環境を見据えたものです。中国が第一列島線を突破するという拡張主義に備える動きです」
こうした米国の動きは、中共に対する明確なメッセージだとされています。つまり、米軍はもはや少数の大型基地に依存しておらず、先制攻撃によって空中戦力を麻痺させようとする試みは、失敗のリスクが極めて高いということです。




