機密情報共有枠組み「ファイブ・アイズ」はこのほど共同声明を発表し、中共の工作員が求人サイトを通じて政府や軍、シンクタンク関係者に接触し、機密情報の収集や情報網の構築を図っていると指摘しました。専門家は、こうした手法はAIとビッグデータ分析を活用したもので、低コストかつ秘匿性が高く、近年の情報収集活動の重要な傾向になっているとみています。
今月3日、「ファイブ・アイズ」は「われわれの機密を守る」と題する共同声明を発表しました。声明によると、中共政権の工作員はリンクトインやインディードなどを利用し、人材紹介会社や人事コンサルタント、研究者を装って標的に接触しているといいます。
中共が狙うのは現職・元政府高官や軍関係者、学者、シンクタンク研究員らであり、北京のために戦略、軍事、経済分野の重要情報を入手することが目的です。
声明によると、こうした活動は通常の求職手続きを装って行われます。工作員はまず対象者を選定し、オンライン面接で政府との関係や軍歴を把握します。その後、研究協力を名目に中共外交や国際関係、防衛問題に関する報告書の執筆を依頼し、数百~数千ドルの報酬を支払うといいます。
これについて、台湾国防部系シンクタンク「国防安全研究院」の研究員・沈明室氏は、中共が標的とするのは政府や軍の資料に接触できる人物であり、その手法は短期的な買収と長期的な育成に分けられると分析しました。
台湾国防部系シンクタンク「国防安全研究院」の研究員 沈明室氏
「まず短期的な取り込みを行い、直接買収したり別の方法で資料を入手したりします。もう一つは長期的な育成です。米国の一部シンクタンクでは、事務職員でも出入りする人物や研究テーマ、成果を把握しているため、こうした人々も中共の接触対象となります」
沈氏はまた、AIやビッグデータ技術の発展により公開情報の分析が容易になったと指摘しました。従来のように情報要員を送り込むよりも、公開ルートを通じて公的資料に接触できる人物を取り込む方が、低コストで法的制約も受けにくいといいます。
沈明室氏
「ファイブ・アイズ加盟国は現在、中共の主要な標的です。これらの国々への浸透や情報要員の派遣は以前から行われており、今はそれを補完してさらに多くの情報を得ようとしています。中共の情報収集はもともと人海戦術を重視しており、接触や収集に携わる人員が多いほど、有価値な情報も増えます」
昨年4月、米国は中共の情報機関が欺瞞的な手法で現職および元政府職員に接触しているとして警告しました。同年11月には英国保安局(MI5)も、中共工作員が英国議会への浸透や監視を試みていると指摘し、中共国家安全部がリンクトインを通じて保守党のオブライエン議員の研究チーム関係者に接触していたことを明らかにしました。
最近ではMI5が再び警告を発し、中共工作員が採用担当者を装い、英国政府や軍関係者を誘導して国家機密を漏えいさせようとしていると指摘しました。
米セント・トーマス大学国際研究講座教授 葉耀元氏
「中共による他国への浸透やスパイ活動は、灰色地帯で綱渡りをするようなものです。民主主義国家がこうした権威主義国家、とりわけ中共の浸透に対処するには、より詳細で強力な法制度を整備し、抑制する必要があります」
元北京の弁護士で独立系研究者の頼建平氏は、ファイブ・アイズは第二次世界大戦後に築かれた長期的な情報共有体制の成果であり、加盟国は高度に情報を共有しているものの、中共の浸透工作に対しては依然として高い警戒が必要だと指摘しました。
元北京の弁護士で独立系研究者 頼建平氏
「中共のようなならず者国家は手段を選ばず、一切の底線を持ちません。そのためあらゆる方法を用います。国家総力を挙げて工作活動を展開できるため、外国の情報要員や関連機関を買収することは比較的容易です。民主主義国家では相対的に難しいです」
頼氏はまた、中共による海外浸透が拡大する中、国際協力が極めて重要だと指摘しました。ファイブ・アイズだけでなく民主主義陣営全体が情報共有と協力を強化し、メディアを通じて事例を公表して警戒を高めることで、さらなる対抗措置を講じるべきだとの考えを示しました。




