米国務省の高官は最近、議会公聴会で、東南アジアの詐欺拠点を中国系の国際犯罪組織が主導し、すでに巨大な犯罪産業に発展したと指摘しました。専門家は、この犯罪産業が中国共産党(中共)の外貨獲得につながっており、中共の摘発も世論の圧力をかわす目的が大きいと分析しています。
8月6日、米国務省で東アジア・太平洋問題を担当するデソンブレ国務次官補は上院公聴会で、ミャンマー、カンボジア、ラオスが依然として世界の詐欺拠点の中心で、犯罪は南アジアやアフリカにも広がっていると述べました。
デソンブレ氏によると、詐欺はかつてない規模に拡大し、サイバー詐欺、人身売買、麻薬取引などを組み合わせた組織的な犯罪ネットワークを形成しています。
専門家らは、この違法産業の背後に中国系の国際犯罪組織があり、中国国籍者や華人が多くを主導していると指摘します。
上院外交委員会の民主党筆頭委員、シャヒーン氏は、米国国民がサイバー詐欺で毎年120億ドルを超える被害を受け、世界全体の損失は1千億ドルを超えると述べました。
FBIのパテル長官によりますと、米国国内の高齢者を狙った詐欺だけでも、被害額は4億ドルを超えています。
FBIなどは取り締まりを強化し、専門の作業部会を設置したほか、複数の中国国籍者を起訴し、多額の資産を凍結しました。また、人身売買の被害者数千人を救出しました。ただ、複数の議員は、犯罪全体の規模と比べれば、こうした成果はごく一部にすぎないと指摘しました。
米国議会では超党派で、詐欺を国家安全保障上の脅威とみなし、中共の「選択的な法執行」を批判する声が出ています。
2024年、中国国内のサイバー詐欺被害は30%減った一方、米国では40%増えました。詐欺組織の首謀者らが中国に送還されていますが、その後、再び外国人を標的に詐欺ネットワークを築くケースもあります。
中国の元警察官、董広平氏は、中共が裏社会の親玉であり、犯罪組織だと述べました。一部の太子党や高官の親族、利益集団が詐欺拠点の後ろ盾になっていると語りました。
中国元警察官 董広平氏
「詐欺団地の運営者は、こうした後ろ盾がなければ現地に進出できません。(中共)高官と東南アジア各国政府との個人的な関係が必要だからです。これらの国々には、すでに中共が深く入り込んでいます。このようなことは普通の人間にはできません」
董氏によると、詐欺拠点の首謀者自身が表に出る必要はありません。代理人を1人現地に送り込み、表向きの責任者を務めさせ、施設の賃借や現地当局、警察との関係を取り付け、配下の人間に詐欺を行わせればいいです。
董広平氏
「彼らは金になることなら何でもやります。血も涙もなく、殺人、放火、麻薬取引、臓器売買、身代金目的の誘拐まで手を染めます。事件になっても捕まるのは末端で、背後の人間には手が届きません。しかも、こうした高官は中共の各レベルの機関、公安、国家安全機関、情報機関ともつながっています」
董氏は、東南アジアの一部の国では、金を払えば当局が見て見ぬふりをするため、「1つの拠点を潰しても、別の場所に新たな拠点を作るだけだ」と述べました。1つの拠点を半年運営するだけでも巨額の利益を得られるといいます。
北京の元弁護士 独立研究者 頼建平氏
「カンボジア、ミャンマー、ラオスに対し、中国は地政学上、圧倒的な影響力を持っています。中国が本気で取り組み、各国に厳しい取り締まりを求め、さらには命じれば、犯罪組織を一掃できます。中国には、これらの国々にこの犯罪を排除させるだけの力があります」
頼氏は、中共が実際には本格的な圧力をかけていないと指摘しています。犯罪組織と、その背後の保護勢力が利権や利益を分け合い、双方に暗黙の了解があるためだとしました。
頼建平氏
「彼らが時折、大々的に摘発や取り締まりを行うのも、世論の圧力に対応し、西側諸国に見せるためです。本気で取り締まるわけではありません。本気なら数日で壊滅させられます。仮にこうした犯罪組織が、中共政権の転覆を企てる政治犯だったらどうでしょうか。すぐに結果が出るのではありませんか」
頼氏は、中共が過去にこうした国々から中共に批判的な人物を拘束して中国へ連れ戻す一方、詐欺グループの活動を長年放置してきたと述べました。その理由について頼氏は、この犯罪産業そのものが中共の外貨獲得手段になっていると分析します。中国人にも被害者はいますが、全体では資金流入が流出を上回る「黒字」となります。一方、米国などの被害国からは富が流出しており、一種の経済的略奪に当たると述べました。




