中共内部文書を独自入手 新疆公安 52種類の出国制限対象を設定

中国共産党(中共)の「出入国管理に関する国務院規定」が9月15日に施行されるのを前に、大紀元は中共の内部文書を独自に入手しました。文書によると、新疆ウイグル自治区の公安当局は9年前の時点で、52種類に及ぶ出入国管理の対象を定めていました。対象には事件やテロへの関与が疑われる人物だけでなく、留学生、出国後に帰国していない人、資産を売却した人、その親族なども含まれていました。

大紀元が入手した機密文書「イリ州直属公安機関『帰還防止』業務マニュアル(2017)」によると、中共は自治区から地方まで、各段階で出国規制を上乗せする仕組みを採用していました。新疆公安庁は35種類の出国制限対象を設定し、地方の公安部門はそれぞれの地域の状況に応じて、さらに17種類の重点警戒対象を追加していました。「帰還防止対象8分類」と「重点対象9分類」を合わせると、計52種類に上ります。

35種類の出国制限基準には、国家安全に関わる事件の関係者や逃亡者、中共が「三つの勢力」と呼ぶ対象だけでなく、一般市民にも関わる項目が含まれていました。

例えば文書の第10類では、在学中に正当な理由なく退学した学生や、家庭の経済状況が特に裕福ではないにもかかわらず海外留学を選んだ人、その親族や本人と密接な関係にある人物まで、出国制限の対象となる可能性があるとしています。

つまり、家庭の経済状況や留学という選択そのものが、公安当局によるリスク判断の材料になり得るということです。

台湾国防安全研究院研究員 沈明室氏
「一見すると信じ難い規定ですが、中共が帰国者を警戒し、新たな国境管理を進める論理から見ると、末端レベルでの仕組みに沿っています。本質的には、法律に基づいて事後的に制限する方式から、行政機関が事前にリスクを判断して制限する方式へ変わったということです。その分、行政当局には非常に大きな裁量が与えられます。以前は何かをした後に逮捕したり、出国を禁じたりしていました。今は、当局が『何かをするかもしれない』と判断しただけで出国を認めません。ここに、事後対応と事前防止の違いがあります」

文書ではほかにも、政府の補助金や最低生活保障の受給を拒むこと、住宅や土地、家畜を売却すること、突然戸籍を別の地域へ移すこと、ネット検閲を回避するソフトを使用することなどを警戒対象としていました。海外の人物と頻繁に連絡を取ることや、国外との資金のやり取りもリスクとみなされます。

こうした管理は本人だけでなく家族にまで及び、「連座」につながる仕組みとなっています。出国後に帰国していない人、連絡が取れなくなった人、国外から強制送還された人などの親族も、警戒対象に加えられる可能性があります。

文書はさらに、「警戒対象となる国、時期、集団、民族、年齢層、家庭背景」という6つの基準を設けています。加えて、「出国後に国家安全へ危害を及ぼすと公安機関が判断したその他の人物」も対象にできる包括的な条項を設けていました。

時事評論家 李林一氏
「この文書を見る限り、中共の監視は、これまで考えられていた以上に厳しいものです。中国経済が減速する一方、中共は過度な社会統制を続けています。こうした状況が続けば、中国の国力も徐々に低下していく可能性があります。今後、民生分野への投入不足が続けば、新たな社会問題が生じる恐れがあります。それが市民の不満や社会不安につながるのかどうかは、今後注視すべき点です」

沈氏は、新疆での出入国管理が、特定の人々だけを対象としたものから、市民の日常生活や経済活動全般にまで広がっているとみています。出国を制限すると同時に、海外に出た人の帰国も警戒する「双方向の管理」が広く適用されれば、さまざまな弊害を招くと指摘しました。

沈明室氏
「本来、出国は国民の権利であるはずです。しかし今では、国家から与えられる恩恵のようになっています。規制が増えれば、出国するために賄賂を使わざるを得ないような状況も生まれかねません。社会に不安を広げ、人間関係を分断する恐れもあります。例えば誰かが出国のために金を借りようとしても、貸した側まで連座の対象になる恐れがあれば、親族であっても金を貸さなくなるでしょう。さらに、海外の人と連絡を取っただけで影響を受けたり、海外から連絡してきた人物が後に中国へ戻った際に問題視されたりする可能性もあります。こうした萎縮効果によって、人と人とのつながりが断たれ、社会全体に不安が広がる恐れがあります」

今回明らかになったのは9年前の新疆公安の内部文書であり、現在中国全土で統一的に運用されている出国制限リストではありません。ただし、出国を制限し、国外に出た人の帰国も警戒するという管理の考え方が、9月15日に新たな規定が施行されるなかで全国へ広がっていくのかどうかが注目されます。

沈明室氏
「もはや一部の反体制派だけを警戒しているのではありません。社会全体を、国外からの浸透や人材・資産流出につながり得る潜在的なリスクとして見ています。今後、新たな鎖国ともいうべきデジタルの鉄のカーテンが築かれる恐れがあります」

留学、財産、通信、さらには親族関係までが公安当局による「リスク」判断の材料となるのであれば、中国人に残された出国の自由は、どこまで縮小していくのでしょうか。

 
関連記事