「国防動員法」10月施行 有事に備え平時から動員準備
中国共産党(中共)政権は「国防動員法」を大幅に改正し、新法を来月1日に施行します。香港メディアは、今回の改正の大きな特徴として、国防動員の準備を平時の業務に組み込んだ点を挙げています。国家発展改革委員会にも新たに「国防動員総合司」が設置され、関係部門との調整を担います。
国防動員法が施行されてから今年で16年で、今回が大幅な改正となります。
新法では初めて「国防動員」を明確に定義しました。柱の一つとして、平時から有事へ迅速に移行できる体制を整え、「経済力と社会力を国防力に転換する」としています。
つまり、動員態勢に入った場合、対象となるのは軍だけではありません。工場や交通、医療、通信など、幅広い民間資源も動員対象となり得ます。
注目されるのは、国防動員の対象がデータやネットワーク、新興技術分野にも広がったことです。
新法ではデータの収集や利用、安全管理に関する規定を追加したほか、新興分野における国防動員能力の整備も盛り込みました。
平時から関係機関や事業者に動員準備を求め、国防動員能力に関するデータの更新、国防関連産業やサプライチェーンの安全性評価、関連訓練などを実施するとしています。
これまで有事を想定して行われてきた資源動員の準備を、平時から制度的に進める形です。
なぜ中共国家発展改革委員会が国防動員を担うのでしょうか。
同時に、発展改革委員会は、新たに国防動員総合司を設置しました。
同部門は、国防動員に関する総合調整や整備計画、実施状況の監督に加え、国家国防動員委員会の実務も担います。
国家発展改革委員会は本来、経済・社会発展を所管する機関です。なぜ国防動員でも重要な役割を担うようになったのでしょうか。
香港メディアは、国防動員には工業、交通、医療、通信、エネルギーなど、多くの民間・経済資源が関わると指摘します。「経済力と社会力を国防力に転換する」には、省庁横断で資源を調整する機関が必要になるためです。
関連する改革は以前から進められてきました。
2022年末以降、中国各地の省、市、県レベルでは、従来の人民防空部門を基盤に国防動員弁公室が相次いで設置されました。
今回の法改正が台湾海峡の情勢と直接関係していることを示す証拠は、現時点では確認されていません。
ただ、香港メディアは、台湾海峡などで軍事衝突が発生した場合、新法が局地的な動員や民間資源の動員・徴用、各種規制措置を実施する法的根拠になり得ると分析しています。
ファーウェイに巨額罰金も 米検察が企業秘密窃取などを追及
中国通信機器大手のファーウェイが、米国史上最大級の刑事罰金を科される可能性が浮上しています。
米国検察が問題視しているのは、個別の企業間紛争にとどまりません。ファーウェイが過去20年にわたり、組織的に違法行為を繰り返してきたと主張しています。
フィナンシャル・タイムズによると、米国検察はまず、ファーウェイが競合他社の企業秘密を盗んだと指摘しています。
社内には「競争管理チーム」があり、競合他社の機密情報を入手した社員に報奨金を支給していたといいます。
起訴状によると、2013年にはファーウェイの従業員が米国通信大手T-Mobileの研究施設に入り、試験用ロボットのアームをバッグに隠して持ち出しました。その後、部品の写真や寸法が別のファーウェイの技術者に送られました。
問題はそれだけではありません。米国側の指摘は、企業秘密の窃取から、イランや北朝鮮との取引、制裁違反をめぐる問題へと広がりました。
起訴状によると、ファーウェイは社内でイランを「A2」、北朝鮮を「A9」と呼んでいました。また、北朝鮮で複数のプロジェクトに関与していたことや、イランで監視設備の設置を支援していたことを銀行側に隠していたと、検察は主張しています。
また、ファーウェイの孟晩舟副会長の関与も焦点となっています。
孟晩舟は今回の裁判の被告ではないものの、検察は、過去に孟晩舟が署名した文書を陪審員に提示する許可を裁判所から得ていました。
米国側によると、孟晩舟は主にイランで事業を行っていたスカイコムについて、ファーウェイとは別の「第三者」と銀行に説明していました。しかし、ファーウェイが事実上スカイコムを支配していました。また孟晩舟は、ファーウェイがスカイコム株をすべて売却したと説明しましたが、実際にはファーウェイが支配する別の企業に売却されていたといいます。
米連邦組織犯罪規制法では、関連する犯罪によって得た利益の最大2倍に相当する罰金を科すことができます。こうした指摘が裁判で認定された場合、ファーウェイは、米国史上最大級の刑事罰金を科されかねません。
一方、ファーウェイは米国側の主張に反論しています。一部の企業秘密窃取に関する訴追はすでに時効を過ぎていると反論し、同社の成功は長年にわたる研究開発と技術革新によるものだと強調しました。
戦略国際問題研究所(CSIS)のスコット・ケネディ上級顧問は、「ファーウェイは基本的に、将来的な米国市場への再参入をすでに諦めている」との見方を示しました。
さらに、この事件は米中関係にも影響を及ぼす可能性があります。
中共の習近平党首は今月にワシントンを訪問する予定で、ファーウェイをめぐる問題はこれまでも米中交渉の材料になり得るとみられてきました。
専門家は、この裁判が技術競争、対イラン制裁、米中外交という複数の問題にまたがっていると指摘します。
審理は数か月に及ぶ可能性があり、その影響は司法の枠を超えて広がる可能性があります。




