【人類の起源】中国起源説の決定的証拠「ダーリー・スカル」から新事実

中国でみつかった頭蓋骨(ダーリー・スカル)は、アフリカにおけるホモ・サピエンス出現に先立つこと6万年前のものである」。1978年に中国で発見された26万年前の頭蓋骨に関する新しい研究結果が、昨年10月発売の米国人類学会(AAA)の情報誌、「American Anthropology Journal』に掲載されました。

それによると、「ダーリー・スカル」が、我われ現生人類ホモ・サピエンスに酷似していることが再確認されています。事実なら、人間の起源に関する「アフリカ単一起源説」を揺るがす可能性があります。

ホモ・サピエンスは、約20万年前にアフリカで出現し、それが約12万年前を境に世界中にに移住していったとする「アフリカ単一起源説」が、一般に支持されてきました。

2017年の夏、モロッコで新たに発見された人間の起源に関する証拠は、人類史の年表を少なくとも10万年も前に引き戻します。

2017年の夏、ホモ・サピエンスが 30万〜35万年前にすでに存在したことを示す化石が、モロッコのジェベル・イルードの遺跡で発見されました。学者たちによる発表は、世界に衝撃を与えました。ホモ・サピエンスの年表を10万年以上も前倒しすることは、決して小さな修正ではないからです。

そして中国で発見されていた「ダーリー・スカル」は、26万年前にホモ・サピエンスが、すでに中国に移住しいていたことを示唆しています。中国はモロッコから1万キロ離れています。

中国の科学者は、はやくから「ダーリー・スカル」と現生人類の酷似性を指摘していたが、これまでほとんど無視されてきました。

北京の中国科学アカデミーの吴新智(ウー・シンチー)さんは、1978年に中国陝西省大茘(ダーリー)県で同頭蓋骨が発見された直後から、現生人類と多くの類似点があることを指摘しましたが、定説となっている人類史の年表が覆されてしまうため、ほとんど無視されてきたのです。

ウーさんは、米テキサスA&M大学のシーラ・アスレヤさんとチームを組んで、最新の分析を行い、その結果は2017年10月25日付の『American Anthropology Journal』に掲載されました。モロッコの遺跡の発掘から得られた新しい知見に基づいて、ウーとアスレヤの両氏は、ダーリー・スカルが26万年前に中国にいたホモ・サピエンスであることを証明しようとしたのです。

「ダーリー・スカル」は、「アフリカ単一起源説」が間違いである可能性を示しています。

ウーさんらは、ホモ・サピエンスはアフリカでは完全な進化を終えないまま、世界の各地に移住したと主張しています。中国のホモ・サピエンスは、他の地域からある程度独立して進化して、その後、西洋のホモ・サピエンスと混血したのではないか、とみています。

現生人類が、これまで定説となっていた人類史の進化論的な年表よりもずっと早い段階で、世界中のより広範な地域に存在していたことを示唆しています。人間の起源についてよりダイナミックな見解といえます。

ウーさんらは、「『ダーリー・スカル』の化石だけで、人類の進化に関する最終的な結論の根拠とはなりえません。しかし、それが完全な形で残っている非常に古い物証であることから、東アジアにおける人類の進化の歴史に関して、重要な存在であることは疑いありません」と述べています。

Credit: American Anthropology Journal.

 
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