【動画ニュース】大学で横行する学生による密告 まるで文革の再来

中国の大学では最近、学生の密告によって教師が粛清に遭う事件が相次いています。当局が学生による密告を奨励しているのは、「萎縮効果」を作り出すためだと指摘されています。

今年2月、重慶師範大学の唐雲(とう・うん)副教授は、「魯迅研究」の授業中に個人の観点を述べたことで、学生から密告されました。3月20日、大学側は「国家の名誉を損なった」として、唐さんの教師の資格を剥奪しました。

不完全な統計によると、近年、授業中に政治情勢の分析や歴史上の事実を述べたことが原因で、停職などの処分を受けた大学教授は数十人に上ります。うち、多くのケースは学生の密告によるものだそうです。

在米時事評論家 唐靖遠氏
「中国共産党は事実上密告を制度化している。共産党文化の考え方にどっぷり浸かった若者を養成している。彼らは独立した思考ができず、密告を恥と思わない。この他に、中国共産党は就職や進学などの条件を餌に一部の学生を誘惑している。利益を目の当たりにし、彼らは悪いと分かっていても、学校の政治任務を拒むことができない」

密告者は誰なのか。中国当局は近年「学生情報員」制度を打ち立て、各大学で推進しています。

記者が中国各地の大学の公式サイトを調べたところ、各大学では毎年「情報員」を募集していることがわかりました。クラスごと情報員が配置され、「教師の教学を監督する」ほか、学生を監視するのが主な役目で、情報員の個人情報は厳しく守られるとありました。

西北政法大学 諶洪果副教授
「これは大学におけるイデオロギー統制強化の重要な方法である。ずっとそうだったが、近年さらに強化されている。実際はスパイの手法を用いて、教師を抑圧し、学生を洗脳している」

では、教師のどのような発言が密告対象になるのでしょうか。中国当局は2013年、イデオロギーの領域において普遍的な価値観や、中国共産党の歴史上における過ちなど7つの事柄に触れてはならないと要求しており、これらは当局のタブーであると言われています。

在米時事評論家 唐靖遠氏
「中国共産党の目的は、一つは、教師が授業を通して民族文化や真相を教える最後の空間を破壊し、教師を中国共産党の代弁者に没落させることで、『赤色の継承者』を代々養成している。もう一つ、密告の奨励によって、人と人との間に不信感を作り出し、社会をバラバラの砂状態にする。こうすることで中国共産党の統治がしやすくなる」

当局の言論統制は深刻化の一方を辿っていますが、それでも一部大胆な教師や学生らは勇敢に立ち上がって、当局のやりかたを批判し、抗議し続けています。唐雲副教授のもとには、多くの学生から支持を表明するハガキが届けられています。

重慶師範大学を定年退職した楊済余(よう・さいよ)教授は、「教師の独立宣言」と題した文章を発表しました。文章の中では、「教師の義務は言葉で魂をつくりあげ、学生に責任を持つことであり、いかなる組織や上司に対して責任を持つものではない」「手に屠殺刀を持った者が、なぜ言論の力をこれほど恐れるのか」と述べています。

 
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