武漢で続く若者の大量失踪 警察は捜査せず(下)

近年、武漢では多くの大学生が行方不明になっていますが、警察捜査を拒否しています。家族は、子供たちの失踪が臓器売買と関係あるのではないかと憂慮しています。

1994年生まれの羅浩(ら・こう)さんは2015年9月10日、友人を訪ねて湖南省長沙市から武漢市に向かった際に、武漢洪山広場で行方が分からなくなりました。広場付近には監視カメラ70台あまりが設置されていましたが、警察は羅浩さんの姿は映っていなかったと答えました。

失踪した羅浩さんの父親
「彼(警官)は、監視カメラの映像は機密事項で勝手に見せることはできないと言った。自分たちが確認したが、見つからなかったと言った。そんなはずはない。70台以上も監視カメラがあるのに」

官制メディア「中央テレビ」のオンライン尋ね人サイトで『武漢で失踪した年齢35歳以下』で検索したところ、1307件の関連情報が見つかりました。

2011年の時点で、すでに武漢には中国でも最先端とされる25万台の「天眼」監視カメラが設置されていましたが、失踪者の発見には役立っていません。

北京伝知行社会経済研究所の元研究員、楊子立さん
「共産党は「天網」監視システムを構築しているが、権限を持つもっと上の人だけが使用できる。一般庶民のためには使われない。いつ使用されたかというと、私の知る限り、高智晟弁護士を拘束した時だ」

失踪者の家族は、警察が失踪者の捜査に着手しないことに疑問を抱いています。

失踪した羅浩さんの父親
「私の子供が失踪してから何年も経っている。なぜ事件として成立しないのかと尋ねたところ、『最初から事件としては成立していない。よって捜査はしない』と言われた」

家族はずっと、子供たちの消えた理由を考え続けています。

失踪した羅浩さんの父親
「一体どこに行ったのか?蒸発したはずはない。我々が武漢で子供たちを探していた時、たくさんの人たちが『武漢には臓器売買組織があり、子供らは彼らにつかまったのだ』と言った」

失踪した程浩さんの父親
「私が何年も子供を探してきた中で、人々は国が臓器売買をやっていて、心臓や腎臓を売っていると話していた。ドナー一人につき百万元も儲かると。別の人は、役人が臓器を移植する際には、健康な20歳くらいの知能指数の高い人のもの、大学生のものを欲しがると言っていた」

2013年に湖北省の政府系メディア「楚天都市報」は、腎臓一つを40万元(約625万円)で取引する巨大臓器売買基地が武漢に存在すると報じました。2017年の湖北省の腎臓移植件数は中国で二番目に多く、同じ年に武漢の華中科技大学同済医学院付属病院の「協和医院」で行われた心臓移植件数は、世界で四番目でした。

中国問題研究家 横河氏
「理由なく疑っているのではない。(法輪功学習者からの)臓器摘出が2006年に世界に知られてから、彼らは「改革」を行うふりをした。しかし死刑囚からの臓器の急激な減少という問題がある。これは(中国の臓器移植専門家)黄潔夫自らが言ったことだが、改革後の2007年にも、移植件数は増加している。つまり、ドナー不足がますます進んでいる。投獄されている法輪功学習者はいつかは使い切ることになる。生きた人からの臓器摘出が命を呑み込む機械と化し、その(臓器の)供給元が減少した時、それは外部から普通の人たちを呑み込むようになる」

家族らは、確実な答えを導き出すために奔走しています。彼らは民間で相互援助や相互救済を進めましたが、政府から圧力をかけられました。

失踪した程浩さんの父親
「一昨年、王涛という記者がこの(失踪)事件を報道したところ、虚偽やデマを流したとして10日間拘束されてしまった。私たちは自分の子供が失踪してしまったと言っているのですよ?なぜそれをでたらめだと言えるのか」

失踪した包玲さんの母親
「警察が捜査しないので、親が自分で尋ね人の投稿をしているのに、なぜその投稿を封鎖するのか?なぜそんなことをする必要があるのか全く分からない」
失踪者リストの名前は今も増え続けています。ある家族は、子供を探すために財産を使いつくしてしまったと語っています。「子供はどこにいるのか。無事でいるのだろうか」とずっと問い続けても、誰も答えてくれません。

 
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