台湾地方選で高まる介入警戒 中共の偽情報・威嚇に対抗

台湾で年末の地方選挙が迫るなか、中国共産(中共)による選挙介入の動きも強まっています。複数の専門家や研究者は、中共が長期にわたり、組織的かつネットワークを通じて干渉を続けるなか、台湾社会は厳しい課題に直面している一方、民主主義を守るための強靱な防衛体制も徐々に築かれていると指摘しています。偽情報や嫌がらせによって、中共が台湾の人々の選択に介入することを許してはならないとしています。

2026年の台湾統一地方選挙が目前に迫り、中共による台湾選挙への介入や認知戦をめぐる問題が、与野党や社会から改めて強い関心を集めています。

民進党の台北市長候補、沈伯洋氏が世論調査やSNS上の反響に変化が見られるなか、沈氏への支持の広がりを指す「洋流」という言葉が、政界やSNSで話題となっています。

民進党中国事務部はフェイスブックへの投稿で、洋流の広がりが中共の強い関心を引いていると指摘しました。中共による台湾選挙への介入は、水面下での浸透と公然とした嫌がらせを並行して進めており、支持者への脅迫や候補者の親族に対する政治的制裁にまで広がっているとしています。

専門家は、中共が台湾の選挙に介入する目的には、複数の戦略的な狙いがあるとみている。

台湾「国防安全研究院」の研究員 沈明室氏
「第一に、『戦争か平和か』という世論の構図をつくろうとしています。台湾独立を支持すれば戦争になり、もう一方を支持すれば平和になるかのように見せ、有権者に恐怖や戦争を避けたいという心理から投票先を選ばせようとします。第二に、政治代理人や親中的な勢力を育成することです。第三に、台湾の現政権の正統性を弱めることです。第四に、民主主義制度は機能しないと国際社会に宣伝し、中共による全体主義的統治の正当性を際立たせようとすることです」

中共による選挙介入は常態化しており、その目的は必ずしも特定の候補を単純に支援することではなく、対台湾戦略に有利な世論環境をつくり出し、台湾の人々の民主制度に対する信頼を長期的に弱めることにあるとの見方もあります。

沈明室氏
「国外勢力が台湾内部の混乱や対立を増幅させることで、公正な選挙や民主的な手続き、政府の施政に対する人々の信頼を揺るがそうとします。また、社会の二極化や分断も深まります。アルゴリズムや偽情報を悪意を持って操作することで、理性的な公共政策の議論が極端で感情的な対立に置き換わり、民主的な合意形成が難しくなります」

こうしたさまざまな干渉に対し、専門家は、不当な介入を防ぐには複数の対策を同時に進める必要があるとしています。

沈明室氏
「社会の言論空間に、海外から操作されたディープフェイクや偽情報があふれると、有権者は情報が不透明なまま、あるいは誤った情報に惑わされた状態で投票することになり、国民の自主的な判断や民主的権利が損なわれかねません。不当な介入を防ぐには、まずファクトチェックと迅速な情報訂正を進める必要があります。さらに、SNS上の偽アカウントや異常なアクセスへの対策を強化することも重要です。特に海外から流入する出所不明のアクセスには注意が必要です」

評論家らは、中共が偽情報やAI生成動画、コンテンツファームによる偽装工作、認知戦、海外からの資金提供、ネット上の世論工作などを通じて、有権者の投票行動に影響を与え、台湾内部の対立を激化させようとするほか、政治的な威嚇によって萎縮効果を生み出すこともあると指摘しています。

米国在住の時事評論家 藍述氏
「これは決して単独の事件ではありません。中共が長年にわたり、組織的かつネットワークを通じて、さまざまな方面から台湾の民主制度に浸透し、破壊や干渉を行ってきた一連の活動の一部です」

沈明室氏
「台湾社会にもたらす影響はマイナス面だけではありません。プラスの面もあります。例えば、国民の防衛意識や市民意識が高まっていることです。何度も選挙を経験するなかで、出所不明のネット情報や短い音声などに対し、真偽を見極める一定の『免疫力』も身についてきました」

藍述氏
「中共が台湾の選挙に介入し、台湾の民主制度に干渉するこうした手法を、一つ一つ暴いていくことです。中共が同じことをするたびに、一部の台湾人は実態に気付き、目を覚ますことになる。それが長く続けば、最終的にはすべての台湾人が中共を徹底的に拒絶するようになるでしょう」

元ワシントン・ポスト北京支局長のジョン・ポンフレット氏と、国際戦略コンサルティング会社のシニア研究員、シーマス・ボイル氏は共同で発表した論考で、世界の注目が米中間選挙に集まるなか、11月に行われるもう一つの選挙も世界の安全保障情勢を左右し得ると指摘しました。それが11月28日に行われる台湾の県市長選挙です。

論考では、民進党が11月の選挙でいくつかの重要な県市を獲得すれば、頼清徳総統の2028年再選に向けた勢いを大きく後押しすると分析しています。また、「中共当局は、2028年の台湾総統選挙を前に、あらゆる手段を使って台湾の有権者を威嚇しようとすることはほぼ確実です」との見方を示しました。

 
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