中国メディア「中国不動産市場が回復の兆し」専門家は「罠だ」

中共肺炎中国経済に深刻なダメージを与え、住宅ローンが払えない人々はやむなく不動産を投げ売りしています。しかし官制メディアは、中国の不動産市場に小春日和が到来したと報じています。これに対し専門家は、現在中国の民衆には不動産を購入する余裕はなく、中共の利益集団が政策とメディアを利用して不動産価格を吊り上げようとしていると指摘します。

新華社通信が先日、北京不動産市場に小春日和が到来したと報じました。3月、4月以降、不動産の需要と供給の両方に回復の兆しが見られ、第二四半期に急速に回復すると予測しています。

一方、中国中央銀行が4月末に発表した『2019年中国都市世帯の負債状況調査』によると、中共肺炎が発生する前に中国の都市世帯の半分以上が破産の危機に直面しており、彼らの資産の70%が不動産であるうえ、56%を超える不動産は銀行ローンを抱えています。つまり住宅ローンが払えなくなると彼らの不動産は銀行に差し押さえられてしまいます。

新華社の言う「不動産市場の小春日和」は何を根拠にしたのかと疑問の声も上がっています。

中国企業ウォッチャーの文瑞(ぶんずい)氏は、中共肺炎が中国を襲った後、民衆が日常の消費活動を行うのが難しくなり、不動産へ投入する資金がなくなってしまったと述べています。文瑞氏は、この「不動産市場の小春日和」とは罠ではないかと考えています。

中国企業ウォッチャーの文瑞氏
「海外に出たり他の場所に移ったりする人が、恐らくその資産を現金化しているのだろう。だからできるだけ早く不動産を手放したいと思っている。だが多くの人が手放したくても手放せない。ここで行き詰ったら彼らはモデル事業を起こすだろう。すると不動産に販路があるように見える。だが現在のところこの販路もみせかけのものだ。販路などあるはずがない」

ネットユーザーがアップロードした動画によると、中国では今不動産の売却熱が高まっており、人々は現金化を急いでおり、売却する中古住宅の数が激増して不動産価格が急速に下落しています。

中国の経済学者、段紹訳(だん・しょうやく)氏は、中国共産党メディアが不動産市場に小春日和が来たと報じたのは、利益集団が世論を操作して不動産価格をつり上げようとしているのだろうと分析しています。

中国の経済学者 段紹訳氏
「つまるところ、中国は政策が経済に与える影響が大きい。実権を握る利益集団は彼らの望む結果を合法化できるのだ。中国の上層階級は毎日のように米国を罵っているが、彼らの子供たちは米国にいる。彼らの財産も米国に移転されている。彼らは不動産をいい値段で売却するために、譲渡しやすいように政策を作る」

中国企業ウォッチャーの文瑞氏も「中国が再度不動産市場を使って経済を立て直そうとしても、もう不可能だ。なぜなら現在の疫病の流行も含む中国の経済問題は、構造的な問題によって生じているからだ」と指摘しています。

 
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