武漢ウイルス研究所元外国人研究者が中共擁護発言 「複雑な背景がある」

武漢ウイルス研究所に勤務していたある外国人研究者が、同研究所を擁護する発言を行い、その発言は中共外交部報道官も引用しました。しかしながら彼女の発言の背後には複雑な背景があることを指摘するメディアもあります。

ブルームバーグは6月27日、豪州人のウイルス研究者、ダニエル・アンダーソン氏にインタビューしました。アンダーソン氏は2019年11月まで武漢ウイルス研究所のBSL-4(バイオセーフティレベル・フォー)施設で研究を行っていました。

アンダーソン氏はブルームバーグに対し、武漢ウイルス研究所には外部から疑われているような、潜在的な安全上の問題は存在しないと述べています。また以前にメディアが報じた、武漢の研究所スタッフが2019年11月に病気で入院した件については、彼女が知る限り2019年末までに武漢ウイルス研究所の中で発症した人はいなかったとも述べています。アンダーソン氏は研究所からウイルスが漏れた可能性を否定してはいませんが、そのウイルスが自然界に由来するものだとより強く確信しているとしています。

このインタビューが掲載されると中共メディアは狂喜し、次々に「恥をかかせてやった!」「西側の陰謀論に反論した」などと報じました。

中共外交部の汪文斌報道官も6月28日の定例記者会見で「米国がWHOの専門家を招いて米国でウイルスの起源を調査するよう、米国に再度促した」と述べ、米国を調査するよう要求しました。

一方、なぜ今になってアンダーソン氏が武漢ウイルス研究所を擁護する気になったのか疑問が残ります。これについてあるメディアが6月29日に彼女の発言の背景に関係する報道を行いました。

米メディア「ナショナル・パルス」は、アンダーソン氏が現在勤務する研究所が、中共関連の企業から高額の寄付金を受け取っていたと報じました。

アンダーソン氏が現在勤務する豪州のメルボルンのピーター・ドロティー研究所(Peter Doherty Institute for Infection and Immunity)は2020年6月にTikTokから200万ドル(約2億2208万円)の寄付金を受け取ったほか、2020年3月にはジャック・マー・ファウンデーションからも250万ドル(約2億7772万円)の寄付金を受領しており、いずれも新型コロナウイルス(Covid-19)関連の事業に使用されています。

ナショナル・パルスはさらに、アンダーソン氏がピーター・ドロティー研究所に入る前、同氏の執筆した研究報告が中共の「輸入された冷凍食品が中国に疫病をもたらした」とするウイルス起源を支持するものであったとも報じています。

さらにアンダーソン氏の論文は、中共官製メディア「環球時報」の報道を批判することなく引用し、脚注に加えています。

WHOは昨年8月の時点で、新型コロナウイルスが食品やパッケージを通じて広まったとの証拠はないと発表しています。

アンダーソン氏は、WHOのテドロス(Tedros Adhanom Ghebreyesus)事務局長や英国人動物学者のピーター・ダザック(Peter Daszak)氏、米国人免疫学者のアンソニー・ファウチ(Anthony Fauci)氏らと同様に、感染拡大後に科学的な立場からではなく利益追求に基づいた発言を行って、多くの人を驚愕させました。

6月29日に米議会で行われたウイルス起源公聴会でのある研究者の発言が、一連の現象に対し明確な解説となっています。

米議会ウイルス起源公聴会で証言した研究者
「正直に言わせてもらうと、私の研究室の誰かが研究室からの漏洩に対する調査に固執したら、中国(共)は我々に『中国の敵』というレッテルを貼り、我々の研究室はブラックリストに載せられて、彼らと共同研究できなくなる。我々は中国と多くの研究を合同で行っているため、そんなリスクを冒すような人はいない。彼らが烈火のごとく怒るからだ。私の生涯の中で最も恐ろしい対話だ」

ウイルス起源公聴会を主催した共和党のスティーブ・スカリーズ議員はツイッターにその動画を公開し、「驚くべきこと」とコメントしました。中共による国際秩序と道徳の破壊行為は、ますます多くの人の知るところとなっています。

 
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