広西チワン族自治区を再び襲う文革時代の悪夢 行き過ぎた防疫対策

広西チワン族自治区で、手錠を掛けられ連行されている人々の首からは、自分自身の顔写真がぶら下げられています。この見せしめは文革時代を彷彿とさせます。

見せしめのために街を引き回されている人を撮影した動画が先日、SNSに投稿されました。この動画の中では、防護服を着て首から大きな顔写真が吊り下げられた人々が、街を引き回されています。

この様子は、広西チワン族自治区の百色市靖西市で撮影されたものです。靖西市政府傘下の靖西融メディアセンターは、彼らは密入国や密輸などの行為をほう助した容疑に問われており、現地の防疫対策措置に照らして罰を与えられているのだと報じました。

しかしながら、これは中共の法律に基づいた場合でも、明らかな違法行為です。1988年の時点で中共最高人民検察院と最高裁判所と公安部は「判決の有無にかかわらず、見せしめのための引き回しの断固たる禁止に関する通達」を発して、死刑囚も含めたすべての犯罪者に対する見せしめ・引き回しの禁止を明確に規定しました。

時事評論家 唐靖遠氏
「彼らが警察機関に所属していようが、その他の出入国検査機関や防疫対策機関に所属していようが、もし現地でこのようなことをやったのだとしたら、彼らは違法と分かっていて敢えて法律を犯したということだ」

この動画で見られる、広場の中央に立たされた4人を武装警官が取り囲み、その外側を群衆が取り巻いている様子は、まさに文革中の批判闘争を彷彿とさせます。

あるウェイボーユーザーは「恐ろしいことだ。このような場面を見ると、いろんな想像をしてしまう」と投稿し、あるネットユーザーは「過去の遺物が再び姿を現したようだ」と投稿しています。また、別のネットユーザーは「なぜこのように対処しなければならないのか。これは何時代だ?本当に恐ろしくなる」と投稿しています。

時事評論家 唐靖遠氏
「この引き回しは、文革中の最もシンボリックな形式だった。つまり民衆同士の批判闘争を扇動する一種の形式だ。だからこの動画は、社会の世論の中で大きな反響を引き起こした。なぜなら、多くの人が過去の恐ろしい記憶を呼び覚ましたからだ」

NTDは、百色政府のホットラインに電話で状況を問い合わせましたが、担当者は状況を把握していないと答えました。

広西チワン族自治区百色政府ホットラインの担当者
「お問い合わせくださったご質問にはお答えできません。靖西市の感染予防管理指揮部にお問い合わせください」

そこで、靖西政府の疾病予防管理センターに電話しましたが、担当者はこの件は自分たちの管轄ではないと回答しました。

広西チワン族自治区百色市靖西市疾病予防管理センター
「防疫対策のことは国境管理センター(が担当)だ。我々疾病予防管理センターだけではない。我々もこの件は説明できない」

NTD記者
「ではあなた方疾病予防管理センターは(引き回しの見せしめについて)知っているでしょう。何が理由だったのですか。大々的に行われていましたが」

広西チワン族自治区百色市靖西市疾病予防管理センター
「それは、それは我々にもよく分からない」

時事評論家の唐靖遠氏
「文革の歴史を少しでも知っている人なら、広西という地域は文革でひどいことが起きた場所だと知っている。広西ではかつてこのような引き回しによる批判闘争が行われ、それからその人たちを殺し、他の人がそれらの死体を分け合って食べたという惨劇が起きた。今回、街頭での批判闘争が、数十年の時を経てまたもや広西の街に姿を現した。現在の中国大陸にはこうした『二度目の文革』の風潮があることが完全に推察できる。実際のところ計画の初期段階にあるようで、非常に危険なシグナルだと言える」

 
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