西安市の病院が診察拒否で死亡者も 市民「病院が業務を止めている」

西安市の極端な感染防止対策により悲劇が相次いでいます。患者が速やかな診察を受けられずに死亡する事例が相次ぎました。ある西安市民は、現在の最大の問題は感染ではなく、都市封鎖によって発生している人道的危機だと指摘しています。

西安市民のネットユーザー「太陽花花花」さんは1月5日、ウェイボーに「父親が2日、突然の心臓の痛みを訴えたが、複数の病院から受け入れを拒否された。西安市中の病院を走り回って8時間も無駄にした挙句、父親はようやく手術室に入ることができたが、医師からは時間を無駄にしすぎた、2時間以内であれば血栓溶解剤で治療できたのにと言われた。父親は結局、1月3日の早朝に亡くなった」と投稿しました。

西安のネットユーザー「太陽花花花」さん
「(病院に)行ったが、応急処置をしてもらえなかった。家族全員PCR検査を受けていたが、私たちが中リスク地区に住んでいるという理由で、現地でもPCR検査を受けなければならなかった。父は心臓病で、一刻の猶予もならなかったのに」

このネットユーザーは、父親が亡くなったあと、西安高新医院から「感染症対策に影響するため、インターネットに投稿しないでほしい」との連絡を受けました。

西安のネットユーザー 「太陽花花花」さん
「私が何か投稿しただけで、防疫対策に影響を与えると言うのか。私の投稿で、陝西省西安市の人民全部がコロナに感染するとでも言うのか?」

西安市が都市封鎖されてから病人が速やかな診察を受けられなくなり、市民の間では悲劇が続出しています。

1月6日、中国メディアは西安市に住む39歳の男性が心臓病を発症したが、PCR検査証明を持っていなかったために病院3か所から診察を拒否され、2021年の大みそかに亡くなったと報じました。

また、妊婦が診察を受けられず流産するというケースも2件相次ぎました。

西安市のネットユーザー「A有雨有晴天」さんはウェイボーに、「12月29日に女性が複数の病院から診察を拒否され、最後には流産してしまった。この夫婦は子供の名前も考えていたというのに」と投稿しています。

西安市に住む趙さんは取材に対し、今最も大きく最も深刻な問題は感染ではなく、都市封鎖によって起きている人道的危機だと話しています。

西安市民 趙さん
「私の従姉が亡くなったが、私たちは葬儀に出られなかった。だがこれは大したことには入らない。ほかに、病気になったのに病院から受け入れてもらえない人がいる。多くの病院が業務を止めているのだ。病院はそもそも、業務を止めてはならない場所だ」

混迷を極める西安市の状況がインターネットに流れると、西安市当局は5日、ウィーチャットを通じて緊急通知を発し、すべてのウィーチャットグループは監視されており、いわゆる「ネガティブな情報」を流した場合、そのグループを直ちにブロックすると警告しました。そのため、この措置によって助けを求めている人がさらに声を上げにくくなるのではと憂慮する声も上がっています。

 
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