米カリフォルニア州の人工知能(AI)技術企業が明らかにしたところによると、同社は今年9月、中国共産党(中共)系のハッカーが自社の生成AI「クロード(Claude)」を悪用し、世界約30の標的にサイバー攻撃を仕掛けていたことを確認しました。一部の標的では、実際に侵入が成功していたといいます。
AI開発企業「アンソロピック」によると、ハッカーはAIを駆使してセキュリティエンジニアになりすまし、防御システムを巧妙にすり抜けていたといいます。企業や政府機関を標的とした一連のサイバー攻撃のうち、約80〜90%が自動的に実行されていたとされ、その高度な自動化は極めて異例だと指摘されています。
同社は、これらのハッカーが中共当局から支援を受けている可能性が「極めて高い」との見方を示しました。
台湾安全研究院の研究員 沈明室氏
「現在、次々と明らかになっている中共系ハッカーは、明らかに中共当局の職員、あるいは中共軍や国家安全部と関わりのある人物です。これらの活動は、彼らにとって本来の職務の一部ともいえます。さらに、いわゆる『戦略支援部隊』や『情報支援部隊』の中には、実際にハッカー組織が組み込まれている例もあります」
台湾国防安全研究院中共政軍・作戦概念研究所の助理研究員 王繡雯氏
「中共軍には『サイバー空間部隊』が設置されており、ネット空間の安全管理やサイバー攻撃・防御、コンピュータネットワークシステムの運用などを担当しています。実際、中共のハッカー体制は軍事利用と密接に結びついているといっても過言ではありません。このため、今回明らかになった事例は氷山の一角にすぎず、中共全体のハッカー組織の規模や能力は、西側諸国の想像をはるかに上回る可能性があります」
AIによる自動化技術をハッキングに応用する動きはすでに急速に拡大しており、アンソロピック社は「こうした技術により、ハッカー組織はより大規模かつ高速に侵入できるようになっている」と説明しています。
サイバーセキュリティ企業「ボレクシティ(Volexity)」も、中共系ハッカーが大型言語モデルを用いて攻撃対象の選定やフィッシングメールの作成、さらには悪意あるソフトウェアの作成方法まで自動生成していることを突き止めたと発表しました。
長年にわたり、米国政府関係者らは、中共が米国のAIを標的とし、それを利用して米国企業や政府機関への侵入や情報窃取を企てていると警鐘を鳴らしてきました。
台湾励志協会(TIA)執行長 頼栄偉氏
「これからの世界のハイテク秩序は、大きく二つの陣営に分かれると考えられます。ひとつは、制度的・技術的に信頼でき、民主的でクリーンな運営を行い、地球規模の持続可能な発展を支えるサプライチェーンを築く陣営です。もうひとつは、中国(共)、北朝鮮、ロシアのように、発展や平和を阻害し、国家レベルのサイバー攻撃など潜在的な脅威を抱える陣営です」
サイバーセキュリティの専門家らは、中共系ハッカーが生成AIを駆使してサイバー攻撃を行っていることに強い懸念を示し、「これは始まりにすぎない可能性がある」と警告しています。
王繡雯氏
「中共によるこうした攻撃や監視活動は、単なる技術的事件にとどまらず、国家安全保障、外交、経済競争、情報戦など、多岐にわたる深刻な問題を含んでいます。現在では、商業機密、軍事機密、国家機密の線引きはほとんど意味をなさず、どんなデータも盗まれれば別の文脈で価値を持つ可能性があります。そのため、各国は中共のこうした行動がもたらす影響を警戒するだけでなく、連携して対応しなければ対抗は困難でしょう」




