中国のAI企業 米国の制裁を受けてIPOを延期

中国の人工知能(AI)開発企業センスタイム(商湯科技)は、米財務省の制裁対象リストに追加されたことを受け、株式市場への大型デビューを延期すると発表しました。米国は、センスタイムは中共軍とつながりがあると指摘しています。

中国のAI開発新興企業であるセンスタイムグループは、12月13日に予定していた7億6700万ドル(約872億円)規模の香港での新規株式公開(IPO)を延期しました。
センスタイムは12月10日、米財務省によって「中国の軍産複合企業」リストに追加され、米国民による投資を禁止されました。

ケース・ウェスタン・リザーブ大学ロースクール フセリーノ・ F. コラーレス教授
「米国は、自国の領土内、自国の住民、自国民の間で、この種の投資を制限する権限を持っている」

センスタイムは、中国の顔認証技術で最も有名な企業です。米財務省は、同社はターゲットの民族性を判別できる顔認識プログラムを開発し、特にウイグル族の特定に注力していると非難しています。

米非営利団体「情報技術・イノベーション財団」のダニエル・カストロ副理事長は、デュアルユース技術としての顔認証技術は、ウイグル系住民の特定や弾圧に使われる可能性があると述べています。

情報技術・イノベーション財団 ダニエル・カストロ副理事長
「顔認証技術には、正当で適切な使い道が沢山ある。しかし、人権の尊重に反する形で開発され、使われる可能性もある。もちろん企業は、自社の技術が適切に使われているかどうかを確認する責任がある」

ケース・ウェスタン・リザーブ大学ビジネス法教授のフセリーノ・コラーレス氏は、中国共産党がその分野で顔認証AIテクノロジーに邁進していると語っています。

ケース・ウェスタン・リザーブ大学ロースクール フセリーノ・ F. コラーレス教授
「だから彼らは国民をコントロールすることができるのだ。彼らは明らかに侵略と支配に成功した」

中国の新疆ウイグル自治区では近年、ウイグル人やイスラム系少数民族を中心に、100万人以上が巨大な収容所システムに拘束されていると推定されています。

北京当局は、同地域での虐待を否定しています。中共は、センスタイムに対する米国の新たな制裁は「嘘と偽情報に基づくもの」だと非難しています。

しかしセンスタイムは、新規株式公開を遂行する決意に変わりないことを約束するとしています。その後、追加情報を記載した目論見書と最新の上場スケジュールを公表する予定です。

〈字幕版〉

 
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