中国 10億ドル規模の石炭採掘事業 進まぬカーボンニュートラルへの道

中共の国家発展改革委員会は2月21日、3件の新しい石炭採掘事業を承認しました。これらのプロジェクトへの投資総額は約40億ドルに達します。中共当局は、「2030年までに二酸化炭素(CO2)排出量をピークアウトさせ、60年までに実質ゼロにする」と表明しています。しかし、中国は現在、米国の2倍以上の二酸化炭素を排出しています。

多くの学者や専門家からは、中共が掲げた炭素排出削減目標は達成できないだろうとの見方がほとんどです。

パワー・ザ・フューチャー エグゼクティブ・ディレクター ダニエル・ターナー氏
「これらの目標はすべて、国際社会をなだめるためにでっち上げた数字に過ぎないと思う」

全米税制改革協議会 エネルギー政策ディレクター マイク・パリッチ氏
「2020年に新設された火力発電容量は、世界の残り全体の3倍以上だ」

中共の国家発展改革委員会は、2月21日に陝西省での2件の石炭採掘事業及び内モンゴル自治区での1件の石炭採掘事業を承認しました。

ハートランド研究所 シニアフェロー H. スターリング・バーネット氏
「石炭の採鉱を続けるのなら、大気から炭素を除去するような、驚くべき技術を開発しない限り、カーボンニュートラルは実現できない」

ライフ・パワード社 ポリシー・ディレクター ブレント・ベネット氏
「中国にとって、石炭火力は依然として発電のための最も効率的な方法だ。石炭は中国経済にとって非常に重要なものだ」

ある中共政権関係者は、2020年における中国のエネルギー発電の約57%を石炭火力が占めていると述べています。

全米税制改革協議会 エネルギー政策ディレクター マイク・パリッチ氏
「実際に起こっていることを見てみると、つい先週、中国(共)政府は、石炭火力発電のためにフル稼働していない場合、石炭生産業者を調査すると脅迫しました」

国際戦略研究協会(ISSA)の会長であり、書籍『21世紀における新たな総力戦』の著者でもあるグレゴリー・コプリー氏は、中国が石炭への依存を減らした場合どうなるかを解説しています。

国際戦略研究協会(ISSA)会長 グレゴリー・コプリー氏
「経済生産の大幅な減少だけでなく、多くの人命にも影響をもたらす。冬は特に、家庭などに十分な電力を供給できなければ、人々は死んでしまいます」

中国では、石炭は最も安価な発電方法の一つです。 しかし、中国で石炭が使用されなくなったら、電気料金は値上げされ、製造業にも影響を与えることになります。

パワー・ザ・フューチャー エグゼクティブ・ディレクター ダニエル・ターナー氏
「もし、本当にカーボンニュートラルを目指せば、電気料金が上昇し、大規模製造業は支払うことができなくなり、閉鎖に追い込まれるだろう。これにより、商品の価格が上がり、米市場は他に移ってしまうだろう。そうだろう?多くの米国資本が中国へ移った理由は、安価なためだ」

昨年、中共当局は43基の新たな石炭火力発電所の建設案を発表しました。承認されれば、年間1億6,500万トンの二酸化炭素が排出されると試算されています。

ハートランド研究所 シニアフェロー H. スターリング・バーネット氏
「大型石炭火力発電所の耐用年数は、50年以上にもなる。つまり、彼らが主張するカーボンニュートラルは2072年までは実現することはないだろう」

ライフ・パワード ポリシー・ディレクター ブレント・ベネット氏
「温室効果ガスの排出量と吸収量を同量にする『ネット・ゼロ』に取り組んでいるのは、民主主義国家ばかりです。権威主義的な経済圏で『ネット・ゼロ』に真剣に取り組んでいる国はあまり見かけません」

国際戦略研究協会(ISSA)会長 グレゴリー・コプリー氏
「要するに、彼らは手に入る限りの、買える限りの石炭を使い続けだろう」

中共当局が新たに承認した炭鉱プロジェクトは、年間2000万トン近い石炭を生産することができます。

 
関連記事