「なぜ和服を着るのか!」警察が浴衣姿の女性を連行=蘇州の日本風情街

江蘇省蘇州市で8月10日、日本の浴衣姿で撮影をしていた女性が、警察官に怒鳴られたうえ、警察署に連行され取り調べを受けました。 この事件は中国のSNS上で議論を呼び、警察は選択的に法を執行し、民族主義を煽っているとの批判の声も上がっています。 

蘇州市の警察官

「中国の漢服を着ているなら、こんなこと言わない。だが、あなたは和服を着ている。中国人として、中国人だろう?あなたは中国人なのか?!」

浴衣姿の女性

「お聞きしますが、私に対してこんな風に怒鳴ってもいいのですか?」

 蘇州市の警察官

「いいんだ!」

浴衣姿の女性

「理由は?」

 蘇州市の警察官

「騒動挑発の容疑だ。連れて行け」

この女性は14日、微博にこの事件について投稿しました。投稿によると、事件は8月10日に蘇州市高新区に位置する淮海街で起きました。女性は、 日本の漫画「サマータイムレンダ」の主人公をまねて浴衣を着て、友人と一緒に写真を撮っていたところ、警察に取り囲まれたといいます。

その後、女性は派出所に連行され、5時間にわたり取り調べを受けました。その間に携帯電話を調べられ、写真を削除されたうえ、浴衣も押収され、500字の反省文を書かされたといいます。 さらには、女性が通う学校に電話し、女性を「教育」するよう求めました。女性は別の投稿で、「自分には着る自由も、言いたいことを言う自由もないことがわかった」と嘆きました。

この事件は、中国のネット上で瞬く間に話題となり、議論を呼びました。

中国の人権活動家 張さん

「和服にも長い歴史があり、和服を着ることが中国人の気持ちを傷つけると言うのなら、中国人は洋服を着てはならないのでは?そこまでナショナリズムを誇張するのは国のためにならない」

中国の元警察官

「事柄自体が違法でなくても、政治的な問題に関わると、例えば、日本との関係が悪化しているこの時期、政府は国民感情を煽る必要があるため、選択的に法律を執行するのだ。 (政府の)このようなやり方は違法である。 今は、目が覚めている人も多いので、今回の事件は確かに中国で大きな波紋を呼んでいる」

あるネットユーザーは、「淮海街にはたくさんの日本料理屋があり、写真に撮るととてもきれい。警察に問題があると思う」とコメントしています。別のユーザーは、「電気は米国人が発明したものだから、中国人は照明をつけてはいけない。テレビやパソコン、携帯電話も使ってはいけない。このまま行くと、ハンバーガーを食べるだけでも逮捕されるかもしれない」と皮肉っています。

 
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