かつて中国の改革開放の進展に伴い、政治改革の実現を期待していた作家・呂正理氏は、最近発表した新刊の中で、そのような見通しは「現実的ではなく」、しかも大きな誤りだったと述べています。歴史への関心から「共産党とは何か」をより深く理解するために、この新刊では、旧版では触れられなかったいくつかの歴史的事件について、補足的な解説が加えられています。
作家の呂正理氏は、新刊『共産世界大歴史――ある革命理想の形成と崩壊』を発表しました。500ページを超える本書は、わかりやすく丁寧な筆致で書かれており、読者は過去100年以上にわたる共産主義社会の複雑な歴史とその本質について、包括的かつ深淵な理解を得ることができます。
著者によれば、本書は2020年に初版が刊行されましたが、この5年間で国際情勢は大きな変容を遂げました。そのため改訂版においては、内容全体にわたって加筆・修正を施し、より深化した研究と考察を加えるとともに、新たに公開された史料や文献、発見にもとづく補足がなされています。
作家 呂正理氏
「COVID-19の世界的流行、米中貿易戦争の深刻化、習近平政権の本格的な始動と、それに続くいわゆる戦狼外交の展開、さらには中台間の緊張が高まっています。加えて、ヨーロッパではロシアによるウクライナ侵攻という重大な出来事も発生しました。こうした出来事を踏まえると、5年前に書いた本では今の情勢を正確に伝えるには不十分だと感じ、新たに内容を更新する必要があると判断しました。これが今回の改訂の主な理由です」
第4部ではゴルバチョフと鄧小平による改革開放政策を詳しく取り上げています。両者の政策が、いかにして天安門事件(六四事件)、東欧諸国の体制崩壊、さらにはソ連の解体という、それぞれ異なる歴史的帰結をもたらしたのかについて比較しています。この20年以上にわたる国際秩序の変化に焦点を当てています。具体的には、中国の大国としての台頭、ロシアとウクライナの戦争、米中間の対立、そして新たな冷戦が取り上げられています。
本書では、共産主義の本質は国際情勢や国際秩序の改変にあると論じています。いずれかの共産主義国家が台頭し成功を収めた場合、次に優先される課題は、自国と同じ言語や民族的背景を持つ隣接する民主主義国家を併合し、経済資源や地理的優位を迅速に確保することにあるとされています。
本書では、中国大陸における五大運動、三大改造、反右派闘争、思想統制と大躍進運動、文化大革命、天安門事件(六四事件)の虐殺、そして法輪功に対する迫害などについて詳しく取り上げています。これら一連の運動には、いずれも流血と残虐な行為が伴っています。
呂正理氏
「たとえばソ連では、かつてスターリンという暴君が現れ、飢餓によって1000万人もの人々が命を落としたと伝えられています。また、彼の指示により不当に処刑されたり、自殺に追い込まれたりした人も100万人を超えるとされています。その後、フルシチョフやゴルバチョフでさえスターリンを厳しく批判しました。では中国ではどうでしょうか。毛沢東は偉人と呼ぶべきなのか、それとも暴君なのか。私の見解では、彼によって命を奪われた人々や中国大陸で飢えに苦しんだ人々の存在は重大な問題である一方で、さらに重要だと考えるのは、彼によって思想面で毒されてしまった人々です。そうした人の数はさらに多いと思います」
呂正理氏は、中国共産党が政権の座にとどまる限り、世界の混乱は一層深まると考えています。
呂正理氏
「習近平氏は政権2期目に入る頃、鄧小平の路線を明確に放棄し、毛沢東やマルクス・レーニン主義の道へ回帰することを公言しました。しかし、果たして毛沢東から学ぶべきものがあるのでしょうか。毛沢東を模範とする時点で、基本的な歴史認識を欠き、その統治方法を誤って正当化しているに過ぎません。この一点だけをとっても、習近平率いる共産党政権にはもはや正当な統治の資格はないと私は考えます。そして21世紀において、世界の人々には極めて重要な責任があると私は考えます。それは、中国の一般市民がこの共産党政権を打倒するために、いかに支援を提供できるかを真剣に考えることです」
著者は新刊の冒頭で、動揺の絶えない時代に「新冷戦」が形を取りつつあり、インド太平洋地域で緊張が急速に高まっていると指摘しています。まるで巨大なジグソーパズルのように複雑な世界情勢の中で、本書は読者に最後の一片となる、いまだぼんやりと捉えにくい「共産主義の黄昏」を読者に示しています。




