テスラ 中共の「養套殺」戦略の罠にはまる

中国の自動車メーカー各社による激しい競争のため、テスラは中国市場で大きな打撃を受けています。米メディアは、イーロン・マスク氏の中国戦略はすでに行き詰まったと報じています。金融・経済の専門家らは、テスラが中国当局による外国企業への典型的な手法「養套殺」(優遇して囲い込み、最後に締め付ける)の罠に陥ったと分析しています。

今年5月のテスラの中国国内 での電気自動車の販売台数は、前年同月比で15%減少し、これで8か月連続の減少となりました。

振り返れば、2019年にマスク氏が上海でテスラ初の海外ギガファクトリーの起工式に出席した際、中国共産党(中共)政権はマスク氏にレッドカーペットを用意し、メディアは「中国の電気自動車産業に火をつけた人物」と持ち上げました。しかし、それからわずか6年後には、中国の消費者は相次ぎより安価な国産ブランドに乗り換え、テスラの中国におけるEV市場シェアは、2020年の20%から2024年には12%にまで縮小しました。

価格以外にも、中共は国内自動車メーカーの発展に有利な政策を打ち出しています。例えば、テスラの自動運転システム「完全自動運転( FSD)」は、度重なる働きかけを経て、ようやく昨年になって中国での展開が認可されました。その前の3年間、中共当局は「安全上の懸念」を理由に、軍事基地や政府機関、重点国有企業、さらには展示会場、コンベンションセンター、道路輸送関連機関などへのテスラ車の進入を禁止していました。一方、テスラの中国における競合各社はこの期間に自動運転技術を大いに発展させました。

米国の経済評論家で、元ブルームバーグのコラムニストであるノア・スミス氏は、当時の寄稿で次のように指摘しています。テスラが現在の行き詰まりに陥った最大の要因は、同社が中国当局による外国企業向けの「養套殺」の罠に落ちたことにあるといいます。すなわち、まずは安価な生産コストや巨大な市場といった魅力で外資系企業を中国に誘致し、工場建設などを促します。その後、合弁、買収、スパイ活動などを通じて技術を奪い取り、中国企業へと移転します。続いて、中国企業は政策的な優遇措置や低コストの優位性を武器に、外資系企業を中国市場から排除し、最終的にはその力で世界市場にも進出していくという流れです。

大紀元のコラムニスト王赫氏は、現時点で見ると、中共によるテスラへの「養套殺」は、ほかの外資企業に対するものよりも一層複雑であると分析しています。

大紀元コラムニスト 王赫氏
「当初、中共はテスラを誘致する際に非常に優厚な条件を与えましたが、その目的はマスク氏を絡め取り、中共と巨大な利害の交差点をつくることでした。そうすれば、彼は米中間で中共と何らかの協力を行う可能性が生じます。中共にとっては、スターリンク事業やテスラの自動運転技術など、戦略的に重要な要素が多く含まれています。このため、中共はテスラに対しても他の外資企業と同様に『養套殺』を仕掛けようとしているとみられます。ただし、テスラをめぐるケースはより複雑で、実行の難易度も高く、他社と比べて時間を要するものとなっています」

米モトローラ社は、まさに前例と言えます。モトローラは1992年、天津の開発区に1億2000万ドルを投資して生産拠点を建設し、これは中国の改革開放以来、初の外資による独資案件であり、かつ外資として最大規模の投資プロジェクトでした。中国本土に投資してから20年後の2010年7月、モトローラはファーウェイが同社のSC300技術を盗用したと非難しました。しかし中共当局による報復的な独占禁止(反トラスト)調査の長期化に直面し、モトローラはファーウェイへの訴訟を断念し、最終的に2011年に中国市場から撤退しました。

アップル社も現在テスラと類似した状況に直面しています。

台湾大学政治学系副教授 陳世民氏
「より生活用品寄りの、より低いテクノロジーのものについては、中国(中共)はあまり興味がありません。しかしアップル、テスラ、あるいはモトローラのような企業が中国に行って生産し、その後中国に彼らの技術を盗まれると、中国企業はよりハイテクな製品を生産することができるようになります。これが習近平の言う『高品質の生産力』です。これらの大型企業が『養套殺』されるとき、彼らは中国市場でますます萎縮し、さらには国際市場さえ中国の企業に侵食されます。これこそ過去十数年の教訓なのです」

現在、テスラは中国において別の側面でも課題に直面しています。第一に、景気の減速と激化する競争の影響で、中国全体の自動車販売が鈍化しています。第二に、マスク氏とトランプ大統領との関係が、中共当局の目に映るマスク氏の「価値」、ひいてはテスラの中国市場における立場にも影響を及ぼしているとみられます。

 
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