少林寺住職の釈永信が拘束 中共内部の権力闘争に関係か

中国・河南省にある嵩山少林寺の住職を務める釈永信が取調べを受けていることが確認されました。釈永信は約10年前から戒律違反などでたびたび告発され、悪評が広まっていたものの、問題視されていませんでした。このため、今回の拘束については、中共の高層部による権力闘争の一環であるとの見方も浮上しています。

7月27日、河南省少林寺の公式ウェブサイトが発表した通達によりますと、同寺の住職・釈永信が刑事事件に関連する疑いで当局の取り調べを受けており、事業資金および寺院にある資産の横領・着服、重大な仏教戒律の違反、さらに長年にわたり複数の女性との不適切な関係を持ち、私生児をもうけていたとの疑惑が指摘されています。現在、複数の関係機関が共同で調査を進めているとされています。

釈永信は38年間にわたって少林寺を率いてきましたが、その間、汚職や収賄、公金流用、少林寺資産の不法所持などでたびたび告発されてきました。彼は長年にわたり悪評が絶えなかったものの、これまでは処分を免れてきました。

米国在住の時事評論家 邢天行氏
「今回、釈永信が突如として取り調べを受ける事態に至った背景には、彼をこれまで守ってきた『庇護の傘』がすでに効力を失ったという事情があると見られます。これは、中共内部、特に習近平政権の高層部における権力闘争と密接に関係しているはずです。釈永信に関する問題が最初に公になった時期には、習近平がすでに政権を掌握していたときでした。もし習近平陣営が現在も完全に掌握しているのであれば、釈永信が今のような事態になることはなかったでしょう」

釈永信は、中国仏教協会の副会長や河南省仏教協会会長、さらには全国人民代表大会の代表も務めており、「政治僧」や「少林CEO」といった異名で知られています。1980年代以降は商業的なプロモーションにも着手し、少林寺は文化や飲食、医薬品、衣料、出版、観光、EC、不動産といった多岐にわたる事業を展開してきました。

邢天行
「釈永信は巨額の資産を保有し、それを背景に利益供与を行っていたと考えられています。彼は常に党の上層部とのパイプを維持することに努め、その人脈は非常に広範囲に及んでいました。このことから、釈が中共高層部の権力闘争に関与していた可能性も指摘されています」

また、報道によりますと、釈永信は中共の元党首・江沢民に気に入られていたとも言われています。当初、中共の地下党員でありながら、仏教協会の元会長であった趙樸初の引き立てを受けて頭角を現し、江沢民派による法輪功への誹謗中傷にも加担していたとされています。さらに、住職在任中には、かつて河南省トップで、江派の政治局常務委員の李長春と緊密な関係を築いていたとされています。

李長春が河南省党委書記を務めていた当時、少林寺に対して国家予算の投入や、「国際的名刹」としての位置づけに関する指示を出していたとされています。

邢天行氏
「釈永信はまず、寺院経済の仕組みを構築しました。少林寺の名声を利用し、いわゆる経済戦略を展開し、『ネットインフルエンサー僧侶』としてさまざまなビジネスをPRしてきました。伝統的な仏教の観点からすれば、彼の行動は宗教の本義を損ね、本来の修行・宗教活動から逸脱したものでした。言い換えれば、彼のやり方は『魔道』と呼ぶべきものでした」

釈永信は37年前、21年前、さらに10年前にも、「恐喝、少林寺の財産および寄付金の横領、私生活の堕落と贅沢、財産の収奪、複数の女性との関係」などの疑惑で告発されたことがありました。しかし、そのたびに当局は証拠不十分を理由に取り調べを打ち切ってきた経緯があります。

米国在住の時事評論家 唐靖遠氏
「2015年当時は、習近平政権が反腐敗キャンペーンを本格化させていた時期でした。しかし、なぜ釈永信に対して手が出されなかったのでしょうか。その理由は大きく二つあると考えられます。第一に、釈永信が中共高層部、特に江派の一部と密接な関係を築いていたことが挙げられます」

唐靖遠氏によれば、もう一つの理由は、釈永信の戦略が習近平政権の海外統一戦線政策と合致していたためだといいます。今回の摘発は、彼の背後にあった政治的後ろ盾が揺らいだこと、さらには習近平政権内部に何らかの変化が生じていることを示しているといいます。

邢天行氏
「現在、実権を握る派閥が釈永信という『腫瘍』を排除する準備を整えたのでしょう。同時に、彼を排除することでその巨額の財産を没収し、国家が接収することも可能となります。一見すると経済的な問題のように見えますが、背後にはより深い政治的意図が絡んでいることは間違いありません」

近年、中国の宗教界ではスキャンダルが相次いでいます。例えば、中国仏教協会の前会長・釈学誠による性的暴行疑惑や、四川省仏教協会の副会長と女性配信者の不倫問題などが報じられました。

こうした宗教界の混乱は偶然の産物ではないとの見方もあります。大紀元の社説『共産主義の最終目的』では、中共が利権と商業主義を通じて宗教を堕落させてきたと指摘されています。宗教団体を資金源や異端排除の道具として利用することで、宗教本来の信仰の意味が失われ、信者の心の拠り所が崩されるといいます。そして、人々の「帰る道」が断たれたとき、中共が目指す「人間破壊」が完成すると述べられています。

 
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