中国の民間シンクタンク胡潤研究院の最新報告書によると、中国の富裕層の今後2年間に対する経済信頼指数は、4年連続で低下し、2012年以来の最低水準に落ち込みました。さらに、今後1年間でモノ消費支出は、平均で24万2千元(人民元)減少する見通しです。学者は、これは富裕層が中国経済の将来に深刻な不安を抱いていることを示していると分析しています。
胡潤研究院は1月30日、「2026胡潤至尚優品——中国高純資産層の品質生活報告」を発表しました。
調査対象は470人の中国富裕層で、平均世帯総資産は6100万元、平均投資可能資産は2300万元と、過去5年間の平均水準を38%上回りました。
報告に書よると、今後2年間の経済見通しについて「非常に自信がある」と回答した人は26%にとどまり、「ある程度自信がある」とした人は59%でした。
富裕層の経済信頼指数は5.4ポイントまで下落し、4年連続の低下で2012年以来の最低水準となっています。
比較として、同指数は2008年のリーマン・ショック時には6.6ポイント、新型コロナウイルス感染拡大期には6.7〜7.2の範囲で推移し、2022年には7.2ポイントの頂点に達していました。
大紀元のコラムニスト 王赫氏
「中国経済でまだ利益を得られる状況であれば、環境が悪くても富裕層はもう一度賭けに出るでしょう。しかし現在の中国では、我慢してももはや稼げず、今後の収益見通しも悪化の一途をたどっています。そのため、信頼感が急速に萎縮していきます」
王氏はまた、中共当局が「成長の安定、雇用の安定、予想の安定」を繰り返し強調しているものの、多額の資産を持つ富裕層は経済全体の動向に敏感で、経済情勢への関心も極めて高いと述べました。
さらに王氏は、中共の富裕層に対する姿勢にも大きな変化が見られると指摘しています。以前は資本家を党に入党させていたが、今では外資企業を含め、すべての企業に党支部の設立を求めています。党があらゆるものを指導するという空気が、富裕層にとって重苦しく、中国の政治全体がますます左傾化していると述べました。
王赫氏
「中国が左傾化しているとはどういうことですか。それは香港の中国本土化、本土の新疆化、新疆の北朝鮮化ということです。これは富裕層にとって望ましくない方向であり、このまま進めば彼らには将来がなく、いずれ共産党に粛清される運命にあると感じています」
さらに王氏は、「現在の中共の『戦狼外交』によって、中国は欧米諸国と深刻な対立関係にある」と分析しました。一方で、富裕層がこれまで得てきた多くの利益は、中国と西側との経済協力による成果に依存してきました。中共と西側の関係が悪化するほど、当然ながら富裕層の将来への期待と信頼を損なうとしています。
胡潤報告書によると、2025年の中国高級消費市場は1兆5600億元(約31兆2千億円)規模となり、前年より5%減少しました。伝統的な高級品市場、衣料・帽子類、化粧品、宝飾品、バッグ、腕時計などは2千億元(約4兆円)減少し、あらゆる価格帯の高級車が10%以上値下がり、高級タバコ・酒・茶市場も6%減少したといいます。
また、今後消費を増やすと見込まれる上位3カテゴリーは「旅行」「健康・ウェルネス」「子どもの教育」で、一方、消費を減らすと回答した上位3項目は「日常使用の高級品」「コレクション」「ギフト」でした。富裕層家庭の1年間の物質的支出は平均で24万2千元(約484万円)減少する見通しです。
米国の経済学者 黄大衛氏
「高級消費の冷え込みは、富裕層が防御的姿勢を強め、物質消費や大きな支出を控えていることを示しています。これは同時に、高所得層の収入が大幅に減少している証拠であり、将来への信頼が欠けていることを意味しています」
さらに黃氏は富裕層の消費縮小は収入減少に加え、将来への信頼喪失が最大の原因だと述べました。彼らの信頼低下は中間層や一般層にも波及し、庶民がますます消費を控えるようになります。
胡潤グループの胡潤会長は、中国の富裕層が投資と国際的な資産運用において慎重姿勢を強めていると述べました。今後1年間で「増やす」傾向がみられる資産は金や米国株・香港株など海外投資で、「減らす」と答えたのは不動産、美術品、コレクションでした。リスク回避と多様化を求める動きが一段と鮮明になっています。また、留学や海外移住への意欲も低下していると分析しました。
黃大衛氏は「中国の富裕層の戦略は典型的なリスク回避と『脱ローカル化』にある。そのため、金や海外資産を増やし、国内資産を減らし、国内投資にはいっそう慎重になっている」と説明しました。
王赫氏
「こうした人々は非常に大きな投資力を持っていますが、国内で会社を立ち上げず、資金を海外に移しています。その結果、中国国内経済の冷え込みはさらに深まり、失業者も増加しています。しかも彼らの行動は社会全体の方向性に影響を与え、将来への期待を一層悪化させています」
王赫氏は最後に、「現在の中国全体はまるで火薬庫のような状態で、いつ爆発的な変化が起こるか誰にも分からないと述べました。富裕層が政治情勢をどう判断し、どのような行動を取るかは、社会全体に深い影響を及ぼす」と強調しました。



