円に安全買い、通商問題で揺れるG7首脳会議に注目=NY市場

[ニューヨーク 8日 ロイター] – ニューヨーク外為市場では、カナダのシャルルボワでこの日から2日間の日程で始まった主要7カ国首脳会議(G7サミット)の討議が難航するのではないかとの懸念から、安全通貨としての円に買いが入った。

ドルはこの日は5日ぶりに上昇したものの、ドル指数の週間下落率は3月下旬以来の大きさとなった。

今回のG7首脳会議は、トランプ米大統領が掲げる「米国第一」主義により世界的な貿易戦争のリスクなどが高まる中、共同声明が採択されないまま閉幕する公算が大きいことが当局者の話で明らかになっている。

キャピタルエコノミクスのシニア米国首席エコノミスト、マイケル・ピアース氏は「今回のG7首脳会議で、通商政策を巡る米国の孤立が衆目を集めることになる。米国がこうして孤立していることは、北米自由貿易協定(NAFTA)撤廃や、中国との全面的な貿易戦争勃発など最悪のシナリオに対するリスクの高まりにつながる」としている。

終盤の取引で主要6通貨に対するドル指数<.DXY>は93.56と、0.2%上昇。ただ週初からは0.7%の下落となり、週間としての下落率は10週間ぶりの大きさとなった。

ドル/円<JPY=>は0.2%安の109.45円、ユーロ/ドル<EUR=>は0.3%安の1.1766ドルとなっている。ユーロ/ドルは週初からは0.9%の上昇となり、週間の上昇率としては2月中旬以来の大きさとなった。

来週は、米連邦準備理事会(FRB)が12─13日に開く連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを決定するとの予想が大勢。市場ではFRBの今後の利上げペースを巡る手掛かりに注目が集まっている。

このほか、欧州中央銀行(ECB)が14日の理事会で債券買い入れ策の終了について何らかの示唆を行うのではないかとの観測が高まっている。ただINGは、イタリアの政局情勢や国際的な通商問題を巡る緊張の高まりなどを受け、ECBは今回の理事会では行動を起こさない可能性があると予想。市場関係者はFRBとECBの動静などを背景に、外為市場のボラティリティーが高まる可能性があるとの見方を示している。

 
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