1年間音信不通の人権弁護士 家族らが中国政府に解放を求める

中国公安当局に自宅で軟禁されていた著名な人権弁護士高智晟 (こう・ちせい)氏(54)が、昨年8月13日から行方不明になり1年が経過した。米国に亡命した妻や支援者らは中国政府に対して、同氏を早急に解放するよう求めている。

高氏は国家政権転覆扇動罪の罪で投獄され、2014年8月に釈放された。しかし北京の自宅に戻ることは許されず、陝西省農村の生家で公安当局の24時間監視体制下に置かれていた。

昨年8月再び失踪してから、親族が省内の各公安局を訪ね回ったところ、「北京に移送した」「ほかの地区に移送した」などと二転三転の説明を受け、高氏の音信がないまま1年が過ぎた。

台湾の人権弁護士、朱婉琪 (しゅ・えんき)氏はこのほど公式フェイスブックで、「中国政府は、高智晟氏や王全璋氏ら拘束されている人権弁護士をただちに解放すべき」とコメントした。

高氏と家族を支援する米キリスト教系人権団体「対華援助協会」の会長、傅希秋 (ふ・きしゅう)氏は米政府系放送局ラジオ・フリー・アジア(RFA)の取材で、「恣意的に人権迫害を繰り返す中国政府に対して、国際社会は是正を求めるべきだ」と述べた。

キリスト教徒である高氏は社会の弱者層を支援し、無料弁護を提供するなどで、中国では名が知れ渡っていた。

2005年から複数回にわたり、気功団体・法輪功への弾圧の違法性と中止を求める最高指導部宛ての嘆願書をインターネットで公開。翌2006年、当局は高氏の法律事務所を閉鎖した。高氏は「国家政権転覆扇動罪」で懲役3年、執行猶予5年の判決を受けた。その後、自宅監視下に置かれて何度も拘束され音信不通になったのち、2011年に再度収容されて3年間服役した。

同氏が収容施設で受けたリンチや拷問の実態などをまとめた著書 「2017、中国起来(2017、中国立ち上がれ)」は米国、台湾、香港で出版されている。家族は無料電子版をも公開している。

 
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