鄭州地下鉄行方不明者 6日後に冷たい遺体となって発見

鄭州市民の沙涛(さ・とう)さんは、7月20日に起きた大水害で行方不明になりました。夫を探すために、沙涛さんの妻は昼夜奔走していました。

20日の夕方、ダムの放水により、水位が上昇する中、沙涛さんは帰宅するために地下鉄に乗りましたが、帰宅することはできませんでした。

事故発生から6日後の7月26日、ようやく夫を見つけ出すことができました。しかし、夫の様子は、もう夫と判別出来ないほど変わり果てていました。

沙涛さんの妻は当日夜、「夫は葬儀場の遺体保管庫に横たわり、身元不明と表示されていた。かつてのハンサムな若者の姿はどこにもない」「今日から私は夫を失い、娘は父親を失い、親たちは息子を失った」と微博に投稿しました。

沙涛さんは7月20日、仕事を終えていつものように帰宅の途につきましたが、ダムの放水によって、鄭州市地下鉄5号線はこの日、浸水に見舞われました。

午後6時過ぎ、沙涛さんから妻に電話があり、警察に通報してほしいと言われました。それから連絡が途絶え、行方がわからなくなってしまいました。

沙涛さんの妻は、中国のソーシャルメディアにメッセージと動画を投稿し、メッセージの転載や夫に関する情報提供を呼びかけました。

地元の病院にも電話しましたが、傷病者や死者のリストに夫の名前はないと言われました。

沙涛さんの妻は微博に、このように投稿しています。「排水作業は遅々として進まない。私がどれほど絶望しているかわかる?鄭州地下鉄は私たち家族を死に追いやりたいのか? 時間は命だ!鄭州地下鉄はどうか彼らを助けてやってください!お願いします!」

7月26日、当局は地下鉄の浸水により、さらに2名の死者が確認されたと発表しました。

その中に、沙涛さんも含まれていました。享年34歳でした。

これで地下鉄での公式の死者数は14人となりました。

沙涛さんの妻は、今回の地下鉄浸水事故について地元当局に疑問を投げかけています。

「今回の事故において、鄭州地下鉄の責任は回避できない。浸水に対する措置が適切に行われておらず、いくつかの地下鉄路線がすでに浸水しているにもかかわらず、5号線は正常運行していた。地下鉄に水が入ってきてから1時間以上経っても、乗客を避難させなかった。そして浸水の深刻さが素早く報告されず、その後の捜索や救助活動も適切に行われなかった」

沙涛さんの妹も、正義を取り戻すと投稿しています。

「さようならお兄ちゃん、この世界は私たちの家族とあなたに借りがある。絶対に正義を取り戻す」

 
関連記事