洪水の被害者を救うためにボランティアが奮闘

政府関係者の姿は見えず

大水害に見舞われている中国河南省では、未だに多くの人が救助を必要としています。被害が最も大きい地域であるにもかかわらず、政府による救済は一切ありません。全国から駆けつけた民間のボランティアが救助活動を行っています。

連日の豪雨とダムの放水による大洪水に見舞われた河南省衛輝市では、13の鎮や村が浸水し、60万人が被災しましたが、救助活動が停滞しているようです。当局者が寄付された物資を横取りしたり、さらにはそれらを売って利益を得ているといいます。

エポックタイムズは、民間のボランティア救助隊のリーダーやそのメンバー、および地元の村民にインタビューを行い、現地の状況を伺いました。

民間救助隊リーダー 楊さん
「民間のボランティア団体が、すべての救助活動を行っている」

楊さんによると、ボランティアの人たちが現地へ物資を届けに行ったものの、物資を配給する当局関係者は現れなかったといいます。

中国のネット上には救助を求める書き込みが数多く投稿されています。楊さんは助けを求める電話を受け、再度被災地に入りました。今回で2度目ですが、1度目の時は、政府も軍の姿も見えなかったといいます。しかし、救助活動の終わり頃に軍が引き継ぎに現れたため、ボランティア救助隊は撤退しました。

しかし、ボランティア救助隊に助けを求める人が増えているといいます。

民間救助隊のリーダー 楊さん
「政府関係者の姿は見えなかった 。多くの作業は私たちがした。最後に、終わり頃になって、軍が引き継ぎに来た。それでも地元政府関係者は現れなかった。私たちは撤退したが、今朝、また多くの救援を求める電話が入ってきたので、再び現地に入りました」

地元の住民は、当局からは何の支援も受けられなかったと、ネット上で訴えています。

投稿では次のように述べられています。

「最初は20代から50〜60代の男性たちが堤防を守っていたが、その後、70代、80代の男性、スカート姿の女性、さらには6〜7歳くらいの子供たちまで助けに入った。彼らは、砂袋を詰めたり、物資を運んだり、人手を必要とするところがあればすぐに駆けつけた」

地元住民は救助を求めています。

衛輝市の住民、李さんによると、村民の多くは浸水により、1週間前から村に閉じ込められており、最近、別の場所に移されたばかりだそうです。

河南省衛輝市在住 李さん
「水深はとても深く、街全体が水に浸かった。家の中の家具はすべて浸水した。部屋の中の水深は浅いところで膝あたり、深いところは1〜2メートルに達している」

李さんは、水が引かないと述べています。

民間救助隊のリーダー楊さんは、被災地の救助状況は「非常に深刻だ」と述べています。

民間救助隊のリーダー 楊さん
「衛輝市全体が浸水し、今救助現場全体が混沌としている。現場を指揮する者も、政府関係者の対応も何もない」

このような状況にもかかわらず、災害を金儲けのチャンスと考えている人がいるようです。救助隊のふりをして被災地に入り、車両を一台運ぶのに2000元もの費用を取り、1日あたり5〜6万元を稼ぐ人たちもいるといいます。

別のボランティア救助隊の王さんは、村に閉じ込められている村民から、「災害を利用して金儲けをしている人がいる」と訴える電話が何度かあったと述べています。

地元の商店主が王さんに伝えたところによると、寄付された物資の一部は、被災者に届いていないといいます。一部の被災している村の村長や共産党書記などが、救援物資を自分の家に持ち帰り、食べ切れないものは売りに出しているといいます。

王さんは、自分は最前線のボランティアに過ぎないが、現場で多くの村民たちが食べるものもなく苦しんでいるのを見るととても悲しくなる。それなのに、救援物資を持ち帰り、売りさばいている人がいる」と語っています。

ボランティア救助隊リーダー 王さん
「大災害に直面して、初めて人間性がわかる。最前線に行ってみて初めて全てがわかる。ニュースなど信じてはいけない。最前線に行ってみて初めて、全ては私たちが想像していることとは違うということがわかる」

全国のボランティアが、洪水の被害を受けた地域に駆けつけています。多くの人は中国のソーシャルメディアで自分たちの組織を作り、情報収集から物資やお金の寄付まで行っています。

 
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