【仏軍事学校報告書レポート3】中共の311基地と対台湾秘密戦争

フランス国防省管轄の研究機関が先日発表した報告書には、中共が台湾に対し遂行している「非対称作戦」が詳細に記されています。

福建省福州市には、中共軍下部組織の「311基地」があります。謎の多いこの基地は中共の実施する「三戦」の本部です。三戦とは、世論戦、心理戦、法律戦を指しています。

仏国防省管轄のフランス軍事学校がこのほど発表した『Les opérations d’influence Chinoises(中国の影響力作戦)』には、この311基地の内情が数多く記されています。

報告書によると、311基地は複雑な構造を成しており、軍機構のほか民間メディアを装った複数の会社も保有しています。それらは軍機関の活動をカモフラージュする役割を担っており、なかでも「海峡の声」と「中国華芸広播公司」は比較的よく知られています。

中国の検索エンジン百度(バイドゥ)のオンライン百科事典「百度百科」には、海峡の声について、「海峡を挟んだ両岸の人々のための公益ラジオ放送」と記されています。一方、報告書は、この二つのメディアは実際には中共軍所属の機関で、過去を調べればその証拠がすぐに見つかると指摘しています。

1958年、中共軍が台湾の金門島を砲撃したいわゆる金門砲戦に合わせて、中共は厦門(アモイ)に中国人民解放軍福建前線放送局を設置し、1984年にその名称を「海峡の声」と改めました。また、「中国華芸広播公司」の前身は「福建前線広播電台」の支局で、1991年になってようやく公式名称「中国華芸広播公司」が付けられました。

報告書によると、海峡の声と華芸広播公司はどちらも中共軍の「台湾向け放送局」で、その最終目標は中共の台湾掌握をサポートすることです。この二つの放送局は当初はいずれも一般的なラジオ局の形態で台湾に対し放送を行っており、その後は様々なメディア形式でたくさんの台湾人を可能な限りカバーしています。また、現地に合わせて閩南語(びんなんご)や客家語(はっかご)といった方言による放送も行っています。

海峡の声と華芸広播公司の所在地はどちらも福建省福州市園壋街15号で、実際は「一つの機関が二つの表札を掲げ」ています。海峡の声は発射アンテナ二つを保有する中共軍の正師級機関で、一つは古田県の61275部隊の管轄下に置かれており、もう一つは厦門の61839部隊が管轄しています。

報告書によると、311基地は放送局のほかにも「海風出版社」という出版社も所有しており、放送局と同様に民間会社を装っていますが、この会社の株主は311基地(61716部隊)一社のみです。

これらの機関はすべてラジオやテレビ、インターネットや書籍を通じて、台湾の各界にプロパガンダキャンペーンを行っています。

中国問題専門家の横河氏は、軍機関が民間メディアを装うのは、中共の対外戦略で一貫した手法だと指摘しています。

中国問題専門家 横河氏
「台湾の視聴者がもし、それらのメディアの大元が中共軍だと知っていて心の準備ができていたら、世論戦や心理戦は何の役にも立たなくなる。軍だけでなく、中共統一戦線部門のほとんどすべての対外部門は民間団体の皮をかぶっているので、外部の人は中共とは無関係の民間団体だと誤解してしまう。このことは中共の欺瞞性と、中共自身も自分たちの悪名を知っており、それを隠さなければならないと自覚していることを示している」

 
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