北京市のある裁判所職員が最近、巨額の資金を持ち逃げして国外に逃亡し、中国共産党(中共)の司法制度に大きな衝撃を与えています。関係者によると、職員が着服した額はおよそ3億人民元に上る可能性があるといいます。また、この人物はすでにギリシャ国籍を取得している可能性があり、現在は行方が分からなくなっています。報道をご覧ください。
中国メディア「財新網」は6月4日、北京市第三中級人民法院の若手裁判官・白彬が、メーデー連休直前に家族とともに数億元に上る執行資金を持ち出し、日本へ逃亡したと報じています。
報道によると、白彬は山西省忻州市出身の1990年代生まれで、2014年から北京市第三中級人民法院の執行局に勤務していました。事件発覚前には執行補助判事を務めていたといいます。
彼は自身の職務上の立場を利用し、オンラインシステムを通じて偽造した執行命令をアップロードし、執行資金を一件ずつ自身が管理する海外口座に送金していたとされています。事件が発覚する前には、すでに資金の移転を完了させており、ギリシャ国籍も取得していたと報じられています。
白彬は今年の初めに辞職願を提出していたものの、受理されないままの状態が続いていました。
また、事件に関わる金額については情報が錯綜しており、1億3000万元とする説のほか、2億元前後、さらには3億元近いとの見方も出ています。
白彬が移転させた巨額の資金は、いずれも1件または複数の違法な資金集め詐欺事件に関する執行資金であると報じられています。
執行資金とは、当事者が効力ある法的文書に基づいて裁判所に強制執行を申請する際に取り扱われる金銭を指します。この中には、損害賠償金や物品の引き渡し費用、違約金、借入金の返済、訴訟費用、さらには評価費用や鑑定費用など、多岐にわたる費目が含まれます。
「財新網」による上記の報道は、掲載からわずか数時間後に削除されました。それ以降、この事件に関する情報は中国のインターネット上から一切姿を消し、実名を伏せて事件の行方を論じていた法律専門家による記事や投稿までも、すべて削除されています。
浙江省麗水市の元裁判所書記官 毛一煒さん
「正直、少し矛盾を感じます。というのも、こういった裁判所では通常、職員のパスポートは回収されるのが普通です。たとえ海外に行く場合でも、何重もの審査や署名が必要で、それをクリアしないとパスポートは返してもらえません。しかも、実際にはその審査を通すのは非常に難しく、ほとんどの場合、何かしらの理由をつけて却下されるのが通例なのです」
浙江省麗水市の元裁判所書記官である毛一煒さんは、中共の司法制度には深刻な汚職が蔓延しており、公正さも欠けていると指摘しています。助理判事という立場の人物が数億元を着服し、国外への逃亡まで成功できたという事実は、監督体制に大きな欠陥があることを示しており、内部に協力者がいた可能性も高いと見られています。
元中国の人権派弁護士 呉紹平氏
「何億元にも及ぶ巨額資金が、これほど容易に国外へ送金されたという事実に、驚きを禁じ得ません。確かに裁判所の執行システムには構造的な抜け穴が存在するとしても、これほどの規模の資金が事前の警告もなく、誰一人として確認や抑止の動きを見せなかったというのは、到底信じがたいことです」
元中国の人権派弁護士・呉紹平氏も、白彬が何億元もの巨額資金の行方を完全に隠し、誰にも気づかれずに処理することは、現実的には考えにくいと見ています。
報道によれば、事件が発覚したきっかけは、白彬の交際相手が友人に対して海外移住の計画を得意げに語ったことだとされています。この会話が漏れ、最終的には匿名の通報へとつながりました。白彬はその動きを察知すると、すぐに家族を伴って日本へ出国したとみられていますが、現在の所在は不明です。
「財新網」の報道によると、事件の発覚後、北京市第三中級人民法院では副院長の交代が行われました。ちょうど同じ日に、副院長の張美欣氏が「重大な規律違反および違法行為」の疑いで調査を受けていることが明らかになりました。注目すべきは、張氏がかつて裁判所の執行部門で勤務していた経歴を持っている点です。
元中国法学者の李玉清氏は、白彬の行為について「極めて悪質であり、法律業界内部に深刻な心理的衝撃を与えた」と指弾しています。特に事件の舞台が北京であったことが、その影響を一層重大なものにしているといいます。この事件は、法律の専門家でありながら自ら法を踏みにじるという、制度的信頼を揺るがす深刻な問題を浮き彫りにしました。また李氏は、「財新網」の報道が削除されたのは、内容が荒唐無稽だったからではなく、資金の獲得から洗浄、そして国外逃亡に至るまでの一連の手口をあまりにも具体的かつ詳細に描いていたためだと述べています。
呉紹平氏は、白彬が国際刑事警察機構(ICPO)によって国際手配される可能性があると指摘し、あわせて、中共当局への引き渡しが行われる可能性も極めて高いとの見方を示しています。
一方で、白彬がすでに「民主中国陣線」日本支部と接触を図っており、同支部が日本での政治亡命申請を支援しているとの情報も報じられています。
しかし、民主中国陣線日本支部の副主席である王戴氏は、この件について正式に否定し、白彬を支援しているとされる「民主陣線」だった盧家熙は、すでに同組織を離脱しており、彼のいかなる言動も日本支部とは関係がないと明言しています。




