ダム放流で北京に洪水被害 警報の欠如に住民は怒り

中国北部ではここ数日、非常に珍しい大雨が続き、各地で被害が相次いでいます。河川は決壊し、橋が崩れ、木々は根こそぎ倒れ、家屋は土砂に埋もれました。北京市は最高レベルの洪水警報を発令し、住民に対して「不要不急の外出は控えてください」と呼びかけています。一方で、当局は災害情報の管理を厳格化しており、インターネット上で災害状況や死傷者に関する疑問の投稿は削除されています。

中国華北地域で続く大雨の影響で、北京市内のほとんどのダムが放水を開始しました。その中でも、密雲ダムの放水量が最も多かったとされ、一晩で洪水が広がり、多くの地域が浸水し、多数の死傷者や行方不明者が出ています。

北京市民の証言

北京市民 汪さん(仮名)
「北京の地形は南西が低く、北東が高いです。私の家は北東にあるため、それほど大きな影響は受けませんでした。密雲のほうは民宿が多く、『五一労動節』や国慶節などの連休によく利用されるほか、地元の養殖業や観光関連のビジネスをしている人たちへの影響が大きかったです。基本的には、すべて流されてしまいました」

今回の災害は北京の故宮博物院にも影響を及ぼし、紫禁城全体が浸水しました。ソーシャルメディアでは市民たちが「浸水しないはずではなかったのか」と議論しています。

北京市民 崔さん
「故宮博物院の裏、北海北や中南海周辺はすべて浸水していて、道路も冠水しており、くるぶしほどの深さでした。故宮の堀もほとんど満杯で、頤和園も放水区域に指定されていました。北海公園の湖も放水しているそうです。都市副都心の地域も大きな被害を受けているようです。」

山東省、山西省、河北省、北京市では次々と災害が発生しており、特に河北省や北京市の遠郊部では被害が急増しています。密雲、延慶、懐柔といった大雨の集中地域では、特に甚大な被害が出ています。

汪さん
「今年は本当に雨が多く、大量の水が下流に流れ込みました。いくつものダムでも同様の状況だったようです。気象当局はこの半月間ずっと、黄色警報や赤色警報を出しており、私たちのスマートフォンにも毎日通知が届いていました。そうした状況にもかかわらず、なぜダム側では事前の対策が取られなかったのでしょうか。昨年も同じような経験があり、ここ数年は毎年のように死者が出ています。私は北京に住んでいるので多くは言えませんが、最低でも緊急対策は必要だったと思います。」

北京市では7月17日から断続的に大雨による災害が報告されており、気象局は連日大雨警報を発令しています。すでに多くの地域で累積降水量が150ミリを超えています。

中共の官製メディアは当初、「北京市が異例の大雨に見舞われたが、28日夜の時点で死者はゼロ」と報じていました。しかし、中共の指導部が重大な死傷者について言及したことをきっかけに、報道機関は北京市全体で30人が洪水で死亡したと発表しました。これまでの慣例とは異なる報道姿勢が、外部の関心を集めています。ネットユーザーの中には「本当に多数の死者が出ていなければ、こんな発表はされないはずだ」と指摘する声もあります。

北京市密雲区太師屯鎮にある老人ホームは、28日に洪水で水没しました。しかし、施設側は取材に対して「お答えできません。関連部門の統一見解を待ってほしい」と回答しています。

汪さんは続けてこう語ります。「今回被害に遭ったのは老人ホームだけではありません。報道できるのが老人ホームだけで、実際には周辺に複数の孤児院もありますが、それについては報道できないのです。内部でも情報発信は禁止されています。昨年、雄安で洪水が発生した際も、北京付近で大洪水が起きた場合はすぐに情報発信が禁じられていました。WeChatに投稿しても自動的にブロックされ、投稿自体ができなくなっています。」

これまで深刻な災害が発生するたびに、民間の救助隊はすぐに支援活動を行ってきましたが、今回の北京の洪水では例年と比べて静かで、民間の支援に関する報道や、自発的なボランティア活動の話題もほとんど見られません。現時点で、洪水はまだ完全に退いておらず、救援を求める声は消されている状況です。今回の災害による被害は、外部の想像を超えているのではないかと危惧されています。

 
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