AP通信はこのほど、大規模な調査報告を発表し、中国共産党(中共)が世界の少なくとも150か国に監視技術を輸出していることを明らかにしました。 その中には、多くのチベット難民を受け入れてきたネパールも含まれており、現在、ネパール各地には中国製の監視カメラが張り巡らされ、現地の難民たちは厳しく監視されています。
中共が海外に監視技術を輸出していること自体は以前から知られていますが、12月20日に公表されたAP通信の調査報告書は、中共が少なくとも150か国で監視技術を展開していると指摘しています。 その対象には、多数のチベット難民を抱えるネパールも含まれています。
AP通信は、ネパール政府の数千件に及ぶ調達書類や企業のマーケティング資料、流出した政府・企業文書を入手したほか、40人以上のチベット難民、中国人および米国人技術者、企業幹部、専門家、政府関係者らに取材をしました。こうした調査を通じて、ネパールが事実上、中共の監視下に置かれている実態が浮き彫りになりました。
台湾励志協会 頼栄偉ディレクター
「中共は、それらの中小国をも支配下に置きたいと考えています。これは『中国版の国際秩序』を押し広げるためであり、さらにはその政治的野心を実現させるためでもあるのです」
報告書によると、かつては毎年数千人のチベット人がネパールへ亡命していましたが、現在ではその数は年間一桁台にまで減少しているといいます。 チベット亡命政府は、厳格な国境管理と「かつてないほどの監視体制」が、この急激な減少の主な要因だとみています。
台湾国防安全研究院研究員 沈明室氏
「中共がこれらの技術を輸出する際、特殊なシステムを組み込んでいる可能性があります。つまり、そのシステムを通じてサイバー侵入や情報収集を行い、対象国の動向を掌握することができるかもしれません。たとえば、厳密な監視を通じて得られたデータが、AIシステム『DeepSeek』のように北京のデータセンターや情報センターに流れている可能性も否定できません」
特に中共は、ネパール国内において、二国間協定で建設が禁止されている国境緩衝地帯にも監視システムを設置しているといいます。 協定で保護されるべき緩衝地帯にまで監視網が拡大していることは、国際社会にとっても看過できない問題となっています。
沈明室氏
「われわれは、中国(中共)がいわゆる『国境を越えた弾圧』を行い、他国の民間施設内に公安関連の拠点を設置している可能性も排除できません。そうした国々でも中共の監視システムが使用されているのでしょうか。そのデータは海外拠点や北京に送られているのではないでしょうか。これは非常に懸念すべき点だと思います」
中共による監視の圧力が高まる中、現地の多くのチベット人は、そこに留まることが難しい状況に追い込まれています。 ネパール国内のチベット人の人口は、かつて2万人以上いたとされますが、現在ではその半数程度にまで減少したと伝えられています。
頼栄偉氏
「多くの人はこれまで、市場の自由主義や経済交流を通じて中国(中共)を変え、民主国家へと導こうとしてきました。しかし、長年その路線を続けた結果、むしろ自国の政治・経済・社会的利益が中共によって侵食され、損なわれてしまったのです」
現在、ネパールの首都カトマンズの街中には監視カメラがあふれ、信号機や寺院の軒下など、至る所に設置されています。 その多くは、中共大使館から数ブロック離れた建物に接続されているといいます。
その建物では、担当者がリアルタイムでネパールの情勢を監視しています。 町中を走るバイクや集まりつつあるデモ活動を追跡したり、巡回中の警官に無線で警告を送ったりすることも可能だといいます。
多くの監視カメラには、暗視機能付きの顔認識システムやAI追跡機能が搭載されています。 これにより、人混みの中から特定の人物を識別したり、個人の動きをロックオンして追跡することが可能になっています。
頼栄偉氏
「リスク回避を本気で考えるのであれば、中国とのデカップリングや、中国依存の縮小が必要でしょう。現在、世界の多くの国々がその方向に動き始めています。実際、中国への依存を減らした多くの国々では、以前よりも経済や社会の成果が向上しています。台湾はその明確な例です」
この報告書はさらに、中共の監視技術の起源をめぐる問題にも踏み込んでいます。 過去数十年にわたり、一部の米国企業は中国市場への参入と引き換えに合弁会社を設立し、中国側の要求に応じて敏感な技術を移転してきたとされています。
沈明室氏
「今となっては、これらの技術の輸出を禁止するには遅すぎます。とはいえ、米国が新たな技術を開発した場合、それをどのように管理し、輸出を防ぐかがまず重要です。次に、過去に米国の技術を中国に輸出した際、どのような管理措置を定めていたのか、もし中共がそれに違反していたのであれば、米国政府がどのような制裁や賠償要求を行えるのか」
近年になって、米国政府はようやくその脅威の深刻さを認識し、制裁措置を取り始めました。 米国企業から中国企業への技術移転も、現在はほぼ停止しているとみられています。 専門家らは、今後、民主国家が中共と提携する際には、これまで以上に強い警戒心を持つようになるだろうと見ています。




