中国の警官が香港人記者を集団暴行、香港で抗議の声高まる

香港テレビ局の報道カメラマンが16日、北京で人権派弁護士を取材する際、複数の警官から暴行されて一時拘束された。香港記者協会は19日に声明文を発表し、警官らの行為は違法だとして法的責任の追究を求めている。

暴行を受けたのは、NOW新聞台中国駐在所の報道カメラマンの徐俊銘氏。現場は中国律師協会(弁護士協会)の門前。取材を受けたのは、人権派弁護士の謝燕益氏。同氏は、中国政府が禁止する気功団体「法輪功」の愛好者の控訴審の代理人弁護士を引き受けたことから、北京市弁護士協会の公聴会に呼び出されて出席する直前だった。

現場の経緯について、北京市公安局と香港記者協会の言い分が食い違っている。

北京公安局の声明文は、徐氏は警官の職務質問に抵抗したため、業務執行妨害の容疑で拘束され、のちに事実関係を認める反省状にサインしたとしている。

香港記者協会の声明文は、徐氏は警官の職務質問に応じていたが、身分証明書が取り上げられて、再三に返却を求めたところ、暴行されて強制連行されたとしている。

NOW新聞台が放送した一部始終の映像では、複数の警官が徐氏を囲んで地面に押さえつけ、謝弁護士は警官に首を掴まれながらパトカーに押し込まれた。

一方、公安当局の公開映像には、警官の暴力行為が映っていない。

香港記者協会は、当局が事実関係を操作したとし、徐氏の業務執行妨害容疑は成立しないと主張し、警官らの法的責任の追究を求めている。協会の幹部数人は16日当日、中国中央政府駐香港聯絡弁公室(中聯弁)前で抗議集会を開いた。

香港の民主党・公民党は真相究明をもとめる声明を出している。

徐氏、謝氏ともに現在は釈放されており、徐氏は頭部に軽傷を負ったとみられる。

 
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