ウォルマートで買った財布に「SOS」の中国語メモ 恐ろしい奴隷労働の実態

新品の財布やバックを初めて使う時、まず中に入っているクッション代わりの紙くずを抜き出します。アリゾナに住むこの女性は、まさにその紙くずを捨てようとしたところ、新品の財布の中に謎のメモを見つけました。しかし最初は気にもとめず読もうともしませんでした。しかし、あとから気になって書かれている文を訳してみました。そこに書かれている事の意味が分かった途端、彼女はひどく心を打たれました・・・。

アリゾナ州シエラビスタに住むクリステルさんは、義理の娘から貰ったギフト券を使って、ウォルマートで新しい財布を購入しました。買った財布は、2017年3月、クリステルさんが初めて使おうとしたその日まで数ヶ月引き出しの中にしまったままでした。

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クリステルさんが財布のファスナーを開けると、中に小さく折り畳まれたメモが入っていることに気づきました。その時は特に気にもとめずゴミ箱に捨てました。

しかしあとから何となく気になり、ゴミ箱から拾い上げてみると、それは中国語で書かれた手書きのメモでした。

クリステルさんの義理の娘ローラさんが、それを英語に訳してみると、そのメモが何なのかが分かりました。

「これを書いた人は、なんと中国の囚人でした」とNews4Tucsonで語るローラさん。「彼らが置かれている状況について、1日14時間もの長時間労働をさせられていること、そして十分な食べ物も与えられていないことが書かれていました」

「メモに書かれている事は、まさに彼らの悲痛な叫びでした」とローラさん。

NTDが翻訳したところ、メモにはこのようなことが書いてありました。

「中国の広西自治区、英山の刑務所では囚人達は毎日14時間、休憩も食事も無しで深夜12時まで働かされています。そして自分の持ち場の仕事を終えられないと看守から殴られます。食事は一切油分も塩も使われていません。囚人は月収2000元 (およそ3万円)貰えますが、主食以外は全て警察に取り上げられます。そして囚人が風邪をひき、薬が必要になると給与から天引きされます。中国で囚人になるという事は、アメリカで馬や牛や羊や豚や犬として生きるよりも最悪です」

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「非常に心が痛みました」と Arizona Daily Star.で語るクリステルさん。

そこでローラさんは4月に自身のフェイスブックでこのメモを取り上げました。

「私には彼らを手助けしてあげれる手段も、連絡方法もありません。ただ、こうやって声をあげることが私に出来る唯一の方法だと思います」とローラさんは説明しました。「このような刑務所の問題は、恐らくみんなが知らないだけで、世界中の何処ででも起きていることではないでしょうか」

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ローラさんによってメモの存在が広まると、ウォールマートの広報担当者はこのようにコメントしました。「このメモについてのコメントは控えさせて頂きます。なぜならこのメモの原本を検証する手段はないからです。しかし、ウォールマートで取り扱っている商品の全サプライヤー(卸業者)に課す必須条件の1つは、自発的に”サプライヤー基準”を満たす事です」

中国で書かれたこのようなメモが、商品に紛れてアメリカで消費者の手元に届いたのは今回が初めてではないのです。

2014年、ニューヨーク在住、オーストラリア出身のステファニーさんはSaks Fifth Avenueの紙袋の中から似たようなメモを見つけました。それは、山東省青島市で身に覚えのない詐欺容疑で禁固3年の判決を受け収監されているTohnain Emmanuel Njongによって書かれたものでした。

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さらに2012年、米オレゴン州に住むジュリー・キースさんはSOSと書かれたメモを、Kマートで買ったハロウィングッズの中から見つけました。このメモにはクリステルさんが見つけたメモよりも、さらにひどい内容が記されていました。

ハロウィングッズの箱を開けたら、中からこのメモを見つけました。中国の労働施設で誰かが助けを求めています。私は人権団体にこのことを報告するつもりです。

このメモを書いた男性は後に、孫毅さんという中国人のエンジニアで、法輪功の学習者であることを理由に、劣悪な環境で悪名高い、中国瀋陽市の馬三家強制労働施設に2年半拘留されていたことが明らかになりました。

法輪功(Falun gong、ファールンゴン)は真、善、忍の理念に基づいた心身を鍛える古来からの気功修煉法です。法輪功は中国で1990年代に爆発的に広まり、中国共産党は彼らが自分達の対抗勢力になるのでないかと、その勢いを脅威に感じました。そしてその恐れから、当時の共産党党首、江沢民は1999年7月20日、彼らを「根絶」させる為に残酷な迫害と弾圧を指示しました。

座禅をする法輪功の人々(Credit: Minghui.org)
孫さんのSOSを求めるメモには、こう書かれていました。中国共産党に政治犯と見なされた抑留者は、休憩も休日も無しで連日1日15時間の労働を強いられています。「抵抗すると、拷問され、殴られ、罵声を浴びせられます。労働報酬はほとんどありません」15年以上で数回にわたり逮捕された後、2016年12月、孫さんは何とかしてインドネシアのジャカルタに逃げました。そして広く報道されている通り、キースさんはそこで彼に会って話を聞く機会を得ました。

しかし彼の51歳の誕生日の数日前である2017年10月1日、インドネシアバリ島の病院で何とも不可解な状況下で、孫さんは突然この世を去りました。病院は腎不全が死因だと発表しています。

ところが孫さんの家族によると彼が腎臓病を患っている事実はなく、病院側が家族の承諾を得ず、すぐに火葬してしまったと言っています。病院側は孫さんの死因の詳細について語ろうとはしませんでした。

家族や友人から孫さんの死因について疑念の声が上がっており、彼の本当の死因は、中国共産党の圧力による毒殺が疑われています。

 
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