米中間選挙、下院は民主党が奪還の見込み トランプ政権に痛手

[ワシントン 6日 ロイター] – 米中間選挙は6日、投開票が行われ、野党民主党が下院を制する見通しとなった。民主党はトランプ米大統領の政策を阻止し、政権運営を厳しく監視する機会を与えられることになる。一方、上院は共和党が多数派を維持する見込みで、来年1月から「ねじれ」議会となる。

民主党が下院(435議席)で過半数を獲得するには、23議席を積み増す必要があった。現時点では民主党は30以上の上積み議席を確保したもよう。民主党が下院で多数派を奪還するのは8年ぶり。

今回の選挙はトランプ米大統領のこれまでの政権運営に対する審判と位置づけられており、大統領にとって厳しい結果となった。

民主党は下院の多数派奪還により、トランプ大統領が自発的な公表を控えている納税申告書や、公務と事業の利益相反問題、2016年の米大統領選でのトランプ陣営とロシアの関係を巡る疑惑について調査するための、より強力な権限を手にすることになる。また、大統領が目指すメキシコ国境での壁建設への資金拠出、大規模減税第2弾の議会通過や、貿易政策で強硬姿勢を貫くことが困難になる可能性がある。

トランプ大統領による司法妨害、あるいは2016年の大統領選でロシアと共謀したことを示す証拠が出てくれば、下院の過半数議席を確保する見込みの民主党は、弾劾手続きを開始することが可能になる。

このほか、「ねじれ」議会となることで、大統領が野心的な法案への取り組みを後退させ、インフラ改善や処方せん薬の価格抑制など、超党派の支持を得ている問題に注力するようになる可能性がある。また、大統領の妥協する能力も試されることになる。過去2年間は共和党が上下両院で多数派だったため、大統領は妥協することにほとんど関心を示していなかった。

下院選では、バージニア州の選挙区で民主党のジェニファー・ウェクストン候補が共和党現職のバーバラ・コムストック候補を破った。またフロリダ州南部では、クリントン政権の高官だった民主党のドナ・シャレーラ候補が、共和党議員が引退した選挙区で議席を獲得した。

上院選では、インディアナ州で共和党のマイク・ブラウン氏が民主党の現職ジョー・ドネリー氏に勝利。ノース・ダコタ州では共和党候補のケビン・クレイマー氏が現職の民主党議員ハイディ・ハイトキャンプ氏に勝利した。

ウェストバージニア州では民主現職のジョー・マンチン上院議員が議席を守った。テネシー州では、共和党のマーシャ・ブラックバーン候補が民主候補を退けた。

また注目されていたテキサス州では、共和党現職のテッド・クルーズ議員が民主党候補で下院議員のベト・オローク氏を抑えて議席を維持した。

2016年米大統領選でヒラリー・クリントン氏と民主党候補指名を争ったバーニー・サンダース上院議員と、同選挙でクリントン氏の副大統領候補だったティム・ケイン上院議員は、バーモント州とバージニア州でそれぞれ大差で勝利を収めた。オハイオ州では、民主党現職のシェロッド・ブラウン氏が議席を維持する勢いだ。

今回の中間選挙では、下院は全435議席が、上院では全100議席のうち35議席が改選となった。また全米50州のうち36州で州知事選が行われた。

民主党のペロシ下院院内総務は、ワシントンで民主党員に対し「明日は米国にとって新しい日となる」と述べ、「可能な部分では共通点を見い出し、そうでない部分では我々の立場を堅持する責任がある」と語った。

民主党が下院を制する見通しとなったにもかかわらず、トランプ大統領はツイッターに「今晩は素晴らしい成功となった」と投稿した。

大統領は中間選挙に向け、中米から米国入りを目指して北上している移民集団(キャラバン)に対して警告を発するなど、自身の支持基盤である保守層にアピールする発言を繰り返してきた。

一方、接戦を繰り広げた民主党候補の大半は、終盤にはトランプ大統領への厳しい批判を控え、既往症があっても保険に加入できる制度の維持や高齢者向け医療保険(メディケア)など、日常生活に関連する問題に軸足を置いた。

 
関連記事